租税条約に定める限度税率を超える外国法人税額の取扱い
2017年11月24日に国税庁の質疑応答事例に追加された項目を遅ればせながら確認していたところ、その中の一つに「租税条約に定める限度税率を超える外国法人税の額の取扱い」がありました。
照会内容を要約すると、租税条約により使用料の限度税率が10%であるにもかかわらず、当該国の手続き上、一度25%で源泉徴収され、その後の手続きにより15%分が還付されるようになっている場合、10%を超えて源泉徴収された外国法人税の額はどのように取り扱われるのかというものです。
これに対する回答を要約すると、限度税率超過部分は、法人税法第41条(法人税額から控除する外国税額の損金不算入)の規定により損金不算入とされることはなく、使用料の支払日の属する事業年度の損金の額に算入され(法法22③二)、限度税率超過部分について、その全部または一部が還付された場合には、その還付されることとなった日の属する事業年度の益金に算入されるとされています。
特に前提知識なくこれを読むと普通のことが書いてあるように感じられるかもしれませんが、平成26年税制改正により平成28年4月1日以後開始事業年度以降改正内容が適用開始になるまでは、租税条約の限度税率を超過する部分については、事後的に適用手続きを行うなどして現地当局から還付を受けるまで「仮払金等」として計上することとされ、外国税額控除がとれないのはもちろん、損金算入も認められないとされていました(旧法基通16-3-8)。
憲法で遵守が求められている条約であるにもかかわらず、限度税率の超過部分の以前の取扱が厳し過ぎたといえばそれまでですが、3月決算会社では前回の決算から適用開始となったばかりの改正ですので、それほど当たり前のことではなかったという点は頭に入れておくとよいのではないかと思います。