「収益認識に関する会計基準」に公表されました-18年3月期有報に未適用の会計基準として記載が必要
2018年3月30日に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」がASBJより公表されました。
適用開始は3年後の2021年4月1日以後開始連結会計年度及び事業年度の期首からとなっていますが、2018年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができるとされています。
さらに早期適用については、追加的に2018年12月31日に終了する連結会計年度及び事業年度から2019年3月30日に終了する連結会計年度及び事業年度までにおける年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することができるとされています。
細かい内容は、今後確認していくとして、企業側からの各種要望等に対して公開草案から「代替的取扱い」として追加されたのは、個別財務諸表上の「有償支給取引」1件のみとなっています(ほかに要望されていたのは、ポイント引当金の実務や実務上算定困難なロイヤルティの現行実務などがありました)。
具体的には適用指針104項に以下が追加されました。
(8)その他の個別事項
(有償支給取引)
104. 企業が、対価と交換に原材料等(以下「支給品」という。)を外部(以下「支給先」という。)に譲渡し、支給先における加工後、当該支給先から当該支給品(加工された製品に組み込まれている場合を含む。以下同じ。)を購入する場合がある(これら一連の取引は、一般的に有償支給取引と呼ばれている。)。有償支給取引に係る処理にあたっては、企業が当該支給品を買い戻す義務を負っているか否かを判断する必要がある。
有償支給取引において、企業が支給品を買い戻す義務を負っていない場合、企業は当該支給品の消滅を認識することとなるが、当該支給品の譲渡に係る収益は認識しない。
一方、有償支給取引において、企業が支給品を買い戻す義務を負っている場合、企業は支給品の譲渡に係る収益を認識せず、当該支給品の消滅も認識しないこととなるが、個別財務諸表においては、支給品の譲渡時に当該支給品の消滅を認識することができる。なお、その場合であっても、当該支給品の譲渡に係る収益は認識しない。
なお、公開草案では設例32に「有償支給取引」がありましたが、この設例は削除されています。
最後に、2018年3月期の有価証券報告書の作成にあたり、「収益認識に関する会計基準」等は「未適用の会計基準等」として注記する必要があります。
「未適用の会計基準等」については、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第12項において、「既に公表されているものの、未だ適用されていない新しい会計基準等がある場合には、次の事項を注記する」とされており、以下の事項の注記が求められています。
(1) 新しい会計基準等の名称及び概要
(2) 適用予定日(早期適用する場合には早期適用予定日)に関する記述
(3) 新しい会計基準等の適用による影響に関する記述
具体的な記載内容は、プロネクサスや宝印刷から記載例を提供されるはずですので、それをコピペして使用すればよいと思われます。(3)の影響については、通常は「評価中」と記載されることになると思われます(過去の事例でこれから評価するというような事例は見つかりませんでした)。
なお、財規ガイドライン8の3の3において、「未適用の会計基準等については、貸借対照表日までに公表されたものについて記載するものとする。ただし、貸借対照表日後に公表されたものについて記載することを妨げない。」とされていますので、これから有価証券報告書を提出することとなる2018年1月決算会社、2018年2月決算会社については、記載は原則として不要ですが、記載しても問題ないということになっています。