サマリー情報のみ先行開示した初の事例はLINE
全く気づいていませんでしたが、LINEが2018年12月期第1四半期決算短信の公表にあたり、サマリー情報のみを先行開示したということが経営財務3359号のニュースで取り上げられていました。
昨年から決算短信の様式の自由度向上が図られており、投資者の投資判断を誤らせるおそれがない場合には「サマリー情報」を先行開示し「連結財務諸表及び主な注記」(四半期含む)は準備が整い次第、直ちに開示することも可能とされていましたが、今までサマリー情報のみ先行開示したという事例はありませんでした(CF計算書や注記事項のみ後で開示するというケースはあり)。
LINEは上記のとおり、2018年12月期第1四半期の四半期決算短信において、2018年4月25日にサマリー情報のみを開示し、追加資料は5月9日に開示しました。
LINEのIRサイトを確認してみるとIR資料室のIR資料に「平成30年12月期第1四半期決算短信[IFRS](連結)」が、「2018.04.25」としてPDFファイルが添付されていますが、このPDFは添付書類が加えられたあとのデータとなっています。
IRニュースのページには5月9日に「(追加)2018年12月期 第1四半期決算短信[IFRS](連結)の要約四半期連結財務諸表及び主な注記について」としてPDFが添付されており、先頭ページには以下のような記載がなされています。
特に弊害はないのかもしれませんが、「2018.04.25」としてあるデータを差し替えるというのはなんとなく後ろ暗い気がして、私であれば躊躇しそうです。日付を変えないのであれば、5月9日に開示した同じファイルをここにリンクしておくというほうが個人的には望ましいように感じます。
意地悪く観察すると、短信のタイトル及び5月9日のリリースでは西暦が使用されているのに対して、IR資料室の短信のタイトルは和暦が使用されているなど、不思議な部分もあります。平成28年12月期までは短信のタイトルも和暦を使用しており、平成29年から2017年と西暦に切り替えているので、その名残りだと推測されますが・・・
話がそれましたが、LINEがサマリー情報のみの先行開示に踏み切った理由として、経営財務の記事では以下のように述べられています。
同社によれば、2018年12月期第1四半期決算は「IFRS15号対応のため、通常よりも時間を要する見込みだった」(IR担当)。一方で韓国上場の親会社(NAVER Corporation)の決算発表が4月26日に予定され、その開示内容から同社の決算が内容を推測することが可能となるため、フェア・ディスクロージャーの観点からサマリー情報のみを先行開示することを決めた経緯がある。
同社の過去の決算発表時期をみると、決算付きの25日頃に公表しているようなので、今回が特殊で、2Q以降は従来通りの開示に戻るものと推測されますが、日本国内でも親子上場しているような会社では今後LINEのような開示を実施する会社もでてくるかもしれません。