特別償却準備金や圧縮積立金を計上する場合は要注意?
税務通信3506号の税務の動向に「税効果相当額の損金算入には明細表の添付が必須」という記事が掲載されていました。
今までも必要だったのではなかったかなと思いつつ、記事を読み進めていくと、2018年2月16日の「税効果会計に係る会計基準」の一部改正の公表と同時に廃止された「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」において定められていた以下の「税務申告書上の取扱い」の記載が、改正基準では削除されているので、今後の取扱いはどうなるのかというのが論点でした。
税務申告上の取扱い
(積立金方式による諸準備金等の種類別の明細表の作成)
46. 第20項により、税効果相当額を控除した純額により諸準備金等が純資産の部に計上されることになるが、その場合には、税務上の諸準備金等の積立額を明らかにするために、当該諸準備金等の額とこれに関連する繰延税金負債額の種類別の明細表を作成し、財務諸表とともに法人税申告書に添付することが必要となる。当該明細表には税務上の諸準備金等の種類別の増減が明らかになるよう当該諸準備金等の繰入額及び取崩高並びにこれらに係る繰延税金負債の額を記載する(別紙「積立金方式による諸準備金等の種類別の明細表」参照)。
結論としては、『国税庁に確認したところ、今後も、「明細表」の添付があれば、税効果相当額との合計額を諸準備金等として積み立てたものとして取り扱うこととするということだ」とされていますので、従来と取扱いに変化はないとのことです。
改正税効果会計基準の原則適用は2018年4月1日以後開始事業年度からとなるため、2018年3月期については従来の個別税効果実務指針に従って「明細表」を法人税申告書に添付するこという建付になりますが、『改正基準が適用される31年3月期については、現行のままであれば、「明細表」を添付することの根拠がなくなってしまうため、来年の申告期までに何らかの対応が図られる方向だ」とのことです。
「明細表」添付の根拠が個別税効果実務指針であったという意識はありませんでしたが、「明細表」の添付がなければ、繰延税金負債分が積み立てられたものと取り扱われなくなってしまうので、知らなかったということがないようにするためにも、何らかの対応はやはり必要なのでしょう。