平成31年度税制改正でストック・オプション税制の拡充が検討対象になっているらしい
T&A master No.753の記事によると、平成31年度税制改正においてストック・オプション税制の拡充がテーマとなっているとのことです。
ただし、ベンチャー支援税制の一つとして検討されているとのことですので、適用対象はベンチャー企業に限られることになる見込みとされています。なお、「ベンチャー企業」の定義については未定で、「どのように定義されるのか、注目される」と述べられています。
具体的にどのようなことが検討されているのかについては、付与対象者の範囲、権利行使価額の上限の引き上げ、権利行使期間の見直しなどが案として浮上しているとされています。
まず、付与対象者の範囲については、税制適格ストック・オプションの付与対象者に兼業者等を加える案が浮上しているとされています。これは、ベンチャー企業では、外部の専門家等のサポートが必要になるケースも多いためとされています。確かに、ベンチャー企業は通常資金繰りに余裕はないものの、外部の専門家を利用するにはそれなりの報酬が必要となるため、税制適格ストック・オプションを付与することができれば支援を受けやすくなるという可能性はあります(もっとも、確度が高いと信じてもらえないと報酬として機能しないと思いますが・・・)。
次に、税制適格ストック・オプションの権利行使価額についてが、現状「年間1,200万円を超えない」ことが必要とされていますが、”「インセンティブとしては低すぎる」との指摘が多く聞かれる”とのことで、「これを一気に2倍以上の金額に引き上げることを目指す動きがある」とのことです。
アーリーステージのベンチャー企業が、ストック・オプションの権利行使価額を純資産価額をベースに設定したとすると、年間1,200万円という枠がインセンティブとして低すぎるとも限りませんが、DCF算定した株価をベースに権利行使価額を設定すると、うまく上場できたとしても年間1,200万円では十分なインセンティブとして機能しないということもあるかもしれません。
最後に、権利行使期間についても「検討の俎上に載る可能性がありそうだ」とされていますが、具体的にどのような期間となるのかについては特に触れられていませんでした。
ベンチャー企業だけになりそうだとはいえ、平成最後の税制改正として是非実現してもらえればと思います。