平成30年度税制改正でこんな罰則が強化されていたとは・・・
2019年10月からの消費税10%への引き上げに向けて、そろそろ軽減税率についてもきちんと確認しておこうかと思っていたところ、税務通信3526号のショウ・ウインドウに「金密輸と罰則強化」という記事が掲載されていました。
金の密輸は消費税分を利益として不正に得ることを目的とするという旨の報道が度々なされていますが、消費税率10%への引き上げを控え、金の密輸入を撲滅すべく、平成30年度税制改正において、消費税法、地方税法及び関税法の各規定が改正され、罰則が強化されたとのことです。
従来、消費税及び地方税法では、懲役10年以下の懲役又は罰金1000万円以下(脱税額が1000万円を超える場合には脱税額まで)とされていました。
最大で懲役10年ですから、バイト感覚で密輸入に手を貸すには十分に重い罰則だと思いますが、平成30年度改正によって、罰金の上限が、「脱税額の10倍が1000万円を超える場合には、情状により、脱税額の10倍に相当する金額以下まで引き上げることが可能になった(消法64④、地方72の109②)」とのことです。
正当に納税された税金の一部を不正に搾取しようとする試みであるため、重い罰金を課すことができるようにするのは賛成です。また一度は成功しても二度目以降に失敗する可能性もあり、そのような場合に過去に成功した分も回収できる可能性があるのも良いのではないかと思います。
関税法については、従来懲役5年以下または罰金500万円以下とされていたものが、罰金の上限が1000万円以下に引き上げられたほか、「貨物の価格の5倍が1,000万円超の場合は、当該価格の5倍以下とする」とされたとのことです。
また、「密輸された金を、その事情を知りながら運搬等を行った業者等に対しても『懲役3年以下又は罰金300万円以下』から『500万円以下(貨物の価格の3倍が500万円を超える場合は、当該価格の3倍以下とする)』」と罰則が強化されたとのことです。
今までも罰則が緩かったという感じはしないので、密輸入の抑止にどれほど効果があるかはわかりませんが、発見した場合にはきちんと罰則を適用し回収を図ってもらいたいと思います。