閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

臨時株主総会で監査等委員会設置に移行したのは常勤監査役が退任する必要があったから?

上場会社が臨時株主総会を開いてまで監査等委員会設置会社に移行したい理由はなんだろう?”から気になってウオッチしているログリー株式会社ですが、先週金曜日に臨時株主総会に付議する取締役候補者の適時開示を行いました。

取締役(監査等委員である取締役を除く。)候補者 が4名、監査等委員である取締役候補者が3名となっています。9月末に、主要株主から派遣(招聘)されていた取締役1名が辞任するという適時開示が行われており、その影響を加味すると、現状は取締役4名、監査役3名の7名となっており、トータルの人数に変動はありません。

現状の役員と候補者を見比べてみると、取締役→取締役(監査等委員である取締役を除く。)に変動はありませんでした。一方で、監査役→監査等委員である取締役候補者を見比べてみると、現在の常勤監査役が退任し、新たに会計士1名の候補者が選任されています。

今年6月に改訂されたCGコード原則4-11では、「監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべきである」(太字が改訂部分)と、「特に」財務会計に関する十分な知見を有する監査役が必要である旨が述べられています。

パブリックコメント対応(202番)では、「(前略)原則4-11の「監査役」は、それぞれ「監査委員」及び「監査等委員」と読み替えられるべきものと考えます」とされていますので、監査等委員設置会社でも要請されている事項は同様となり、この改訂への対応かと思いましたが、同社ではすでに会計士1名を監査役として選任しており、この方は監査等委員の候補者となっています。

もっとも、パブリックコメントの中には「財務・会計に関する十分な知見を有する者は、1人ではなく、少なくとも2人以上必要と考える」というようなものもあるので、会計士を2名選任するというのはガバナンス的にはプラス評価されるかもしれません。

とはいえ、今年6月に上場したばかりの会社が、監査役の任期が1年も経過しないうちに(4月に選任)、臨時株主総会を開催してまで、監査等委員会設置会社へ移行するというのはやはり普通ではありません。

当初は、市場変更を目指した場合の都合かとも考えていましたが、同社では補欠監査役が選任されていなかったことから、常勤監査役が何らかの事情で退任しなければならなくなったということであれば、この流れも納得がいきます。

まず、補欠監査役が選任されていないので、監査役に欠員が出た場合、裁判所への選任申立てもありますが、この申立ての場合「一時取締役等職務代行者(仮役員)は,中立性を確保するため,原則として,裁判所が適任と考える弁護士を選任しています。したがって,原則として,候補者の推薦は受け付けていません。」(大阪地方裁判所HP)とされており、さすがに常勤監査役についてこの制度は利用しづらいと考えられます。

そうなると、臨時株主総会を開催して選任する必要がありますが、常勤監査役の適任者がすぐに見つかるかという問題があります。この点、監査等委員会設置会社の監査等委員には常勤性が求められないので、監査等委員会設置会社に移行してしまえば、この問題は解決することができます。

もっとも、改訂CGコードのパブリックコメントの中には「監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社においては、常勤の監査等委員又は監査委員を選定すべきである」というものがあり、これに対する「コメントに対する考え方」では、「(前略)実効的に監査を行うために有用と考えられる場合には、それぞれの上場会社の判断の下で、そうした常勤の委員を置くことも考えられます」とされている点には留意する必要があります。

ところで何故、監査等委員会設置会社では常勤の監査等委員の選任が義務付けられていないかですが、この点については「監査等委員会は、監査委委員会と同様に、いわゆる内部統制システムを利用した組織的な監査を行うことを前提としており、常勤の監査等委員を義務付けなくても、情報収集等の点で問題ないと考えられるため等と説明されています。」(Q&A監査等委員会設置会社の実務

なお、随分前のデータとなりますが、上記参考書籍によれば、「平成27年10月1日時点で監査等委員会設置会社に移行済みの企業210社のうち、任意に常勤の監査等委員を置く会社は178社(約84.7%)であった」と、結構高い割合で常勤の監査等委員が選任されているようです。また、日本監査役協会が作成している「新任監査等委員ガイド」によれば、監査等委員のうち3割が常勤、7割が非常勤とされていますので、監査等委員が3名で構成されていることが多いことからすると、やはり1名は常勤の監査等委員が置かれていることが多いといえそうです。

ログリー社の場合は、監査等委員候補者はいずれも他社等の役職を相当する兼任されていることから常勤の監査等委員は選任されないものと推測されます。

上記は単なる憶測で、単に監査等委員会設置会社に移行したかったということもありえますが、「常勤の監査等委員の選定の有無及びその理由」については事業報告の記載事項となっていますので、今年度末の事業報告での記載にも注目です。

関連記事

  1. 三井トラスト・ホールディングスの会社法監査報告書にKAM記載

  2. 発行可能株式総数と設立時発行株式数

  3. 自社株対価のM&Aが会社法でも可能になる模様

  4. 2名以上の独立社外取締役選任企業の割合は東証一部で88%に上昇

  5. 粉飾企業の非常勤監査役への損害賠償請求は認められるか?

  6. 株式交付(その4)-株式交付計画の記載事項




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,853,849 アクセス
ページ上部へ戻る