大企業の経理マン、土地の譲渡対価を課税売上と誤認?
税務通信3561号の展望に「消費税率引き上げ前に知っておきたい上場企業もミスする初歩的な課税関係」という記事が開催されており、その中で「税務調査においては、上場企業であっても目を疑う基本的な内容の課税ミスをしているという」とされていました。その内容として、「税務の動向」に「特集 大企業経理マンでも見落としがちな消費税項目①土地の譲渡~土地の譲渡対価の額を課税売上と誤認~」という記事が掲載されていました。
いくら「目を疑う基本的な内容の課税ミス」といっても、これはさすがに作り話ではないかと思ってしまう内容ですが、「今回は、土地の譲渡が行われた場合に、その譲渡対価の額は課税売上割合の計算上”非課税売上高”に含めるにもかかわらず、誤って”課税売上高”としていたケースを紹介する」とされており、実際にあった事例のようです。
一般事業会社において土地の売買は、頻繁に行われるものではないため処理を誤るということはあったとしても、申告が完了するまでどこかで発見されないのかなという疑問は生じますが、金額がそれほど大きくないと全体的に消費税を確認しても気づかないということなのかもしれません。
このような初歩的なミスが生じるのは、「特に、不動産業を本業としていない事業者が、本社用地や工場用地などを経営上の事情等により親子会社間で売買した場合など、土地の譲渡が偶発的に行われたものであり、かつ、専門の業者を介さないような場合に誤りが目立つようだ」とのことです。
初歩的なミスということなので、本来非課税売上とすべき売上を課税売上として処理したというのは土地の売却代金の一部を仮受消費税として処理したということだと推測され、基本的には消費税の納税額が多くなっているということだと思われます。
しかしながら一方で、土地の売却を非課税売上として正しく処理していたとすれば、課税売上割合が小さくなっていたはずであり、課税売上割合を用いて計算される仕入税額控除の金額が過大に計算されていたということになります。
最終的には、土地売却に対して仮受消費税を計上していた影響と、課税売上割合が過大に計算されていたことにより仕入税額控除が大きく計算されていた影響のいずれの影響が大きかったかによりますが、場合によっては過少申告加算税が課せられる可能性があるということになります。
今回のケースは個人的には、さすがにないよなという感じがするものですが、初歩的な課税関係のミスについて税務通信では数回にわたって紹介されるとのことですので、次回以降の記事もチェックしようと思います。