「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」等が改訂されましたー2019年8月1日公表
2019年8月1日に国税庁から「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」および「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の一部改訂が公表されました。
今回の改訂は事業者からの質問等をふまえ、軽減税率関係で19問、適格請求書等保存方式で4問のQ&Aが追加されています。
今回追加された中から軽減税率関係のものをいくつかとりあげて紹介します。
1.みりん、料理酒、調味料の販売
みりんや料理酒が軽減税率の対象となるのかという問に対して、、酒税法に規定する「みりん」の販売は、軽減税率の適用対象とはならないとされています。一方、料理酒などの発酵調味料(アルコール分が一度以上であるものの塩などを加えることにより飲用できないようにしたもの)やみりん風調味料(アルコール分が一度未満のもの)については、酒税法に規定する酒類に該当せず、「飲食料品」に該当するため軽減税率の対象となるとのことです。
ちゃんとした「みりん」を料理に使用すると、元々高価な上に消費税も高くなるということのようです。
2.キャラクターを印刷したお菓子の缶箱等
これは、キャラクターを印刷した缶箱にお菓子を詰めて販売している場合において、この缶箱が通常必要なものとして使用される容器に該当し、この缶箱入りのお菓子の販売が軽減税率の適用対象となるのかという問です。
これに対して、結論としては軽減税率の対象となるとされています。上記のような缶箱は購入者によっては再利用されることがあるものの、基本的には、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものに該当し、その缶箱入りのお菓子の販売は、軽減税率の適用対象となるとのことです。
こんな質問がされる背景を想像すると、購入者はその缶欲しさに購入するということが多いということなのではないかと思われますが、缶は包装材にすぎない、お菓子が入っていれば基本的に軽減税率の対象となるということのようです。
3.自動販売機の手数料
これは、清涼飲料の自動販売機を設置している場合に、飲料メーカーから、この自動販売機による清涼飲料の販売数量等に応じて受領する販売手数料が軽減税率の対象となるかという問です。
結論としては、その対価の額が販売数量等に応じて計算されるものであったとしても、飲食料品の売上げ(又は仕入れ)に係る対価の返還等には該当せず、「役務の提供」の対価に該当することから、軽減税率の適用対象とならないとされています。
普通に考えると単なる手数料ですが、ここに記載されているくらいなので、飲食料品の売上げ(又は仕入れ)に係る対価の返還等として軽減税率の対象となるのかという問い合わせが相当数あったということなのだと思われます。
4.遊園地の売店
これは、遊園地の売店で販売する飲食料品は、遊園地全体が「飲食設備」に該当し、軽減税率の適用とならないのかという問いです。
結論としては、顧客が飲食料品を園内において食べ歩く場合や、売店の管理の及ばない園内に点在するベンチで飲食する場合は、売店にとっては、単に飲食料品を販売しているに過ぎないことから、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となるとされています。ただし、売店の管理が及ぶテーブルや椅子などで顧客に飲食料品を飲食させる場合は、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象とはならないとされています。
したがって、販売元は、販売の際に、顧客に対してその場で飲食するかどうかの意思確認を行うなどにより適用税率を判定することとなるとされています。どこで飲食するか聞くというのはもっともですが、店内で飲食しようと思ったら席が空いていなかったというような場合、やはり外で食べるので消費税分返して下さいというようなやりとりが生じることが容易に想像されます。
消費者としては税率が軽減されるというのはありがたいですが、飲食する場所で8%と10%を使い分けなければならない飲食店は大変だろうなと同情します。
以上、追加されたQ&Aの一部紹介でした。