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全額損金算入タイプから払済保険への変更も洗替処理が必要

2019年6月に改正された通達により、最高解約返戻率が50%超の保険契約等に係る保険料の一部を資産計上することが原則とされましたが、あわせて「払済保険」へ変更した場合の取扱い(法人税基本通達9-3-7の2)も一部見直しが行われています。

具体的には、法人税基本通達9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)の(注1)が、従来の「1 養老保険、終身保険及び年金保険(定期保険特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合」から「1 養老保険、終身保険、定期保険、第三分野保険及び年金保険(特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合」に改正されています。

そもそも「払済保険」とは何かですが、保険期間の途中で保険料の支払が困難となった場合などに、保険料の支払を中止し、既に支払った保険料に係る解約返戻金を利用して保険契約を継続するものです。保険期間は既存契約と同様ですが、保険料の支払を中止するため、既存の契約よりも保険金額が低くなることになります。

そして上記の通達改正により、通達に定期保険や第三分野保険が記載されたことから、税務通信3573号の税務の動向に記載されていた記事によると、2019年7月8日前に契約していた全損タイプの定期保険等を払済保険へ変更した場合に洗替処理が不要となったと考える向きがあるそうですが、「国税庁への取材によれば、これらの定期保険等から払済保険への変更時には洗替処理を行うことが必要になるという」とのことですので注意が必要です。

ここでいう洗替処理は、変更時の解約返戻金相当額と資産計上額の差額を益金又は損金に算入処理を意味します。したがって、仮に全損タイプの保険を払済保険に変更する場合には、資産計上額が0のため解約返戻金を益金に算入することが必要となります。

一方で、通達改正によって、最高解約返戻率が85%超の場合には、払込保険への変更により一時払いしたものとする保険料のおおむね90%を資産計上(約10%を損金処理可)することが求められるため、この場合には解約返戻金の約90%が所得となることになります。

洗替処理が必要となる理由として、上記の記事では、「本紙が国税庁に確認したところ、改正通達の適用日前に契約していた全損タイプの定期保険等から、改正通達の適用日以降に行う払済保険への変更は、改正後の取扱いが適用されるものの(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q14]、同種類の払済保険への変更とはいえず、原則どおり、洗替処理wが必要となるとのこと。払済保険への変更に伴い、保険期間は変動しないものの、保障内容は解約返戻金などに変更があるためだ」と述べられています。

払済保険への変更は、保険料を継続して支払うことがきつくなったような場合に選択されることがあるため、上記通達の解釈を間違えて払済保険に変更してしまうと、思わぬ税負担が生じる可能性があるため注意が必要です。

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