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改正会社法、今臨時国会(12月9日まで)に成立させたい意向

「会社法の一部を改正する法律案」及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」の内容が明らかとなり、政府としては今臨時国会(12月9日まで)で会社法改正案を成立させたい意向とのことです(T&A master No.808)。

仮に今臨時国会で改正案が成立した場合、改正法の施行は、公布の比から起算して1年6カ月を超えない範囲内とされているため、2021年6月頃までに施行されることとなるとのことです。

肝心の改正法の内容ですが、2019年2月に法制審議会が取りまとめた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要項」を踏まえたもので、同要綱から内容の変更はないとされています。

この内容については、以前、”会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案が決定(その1)”などで確認しましたが、改めて主な内容を取り上げると以下のとおりです。

1.株主総会資料の電子提供制度の創設

これは、株主総会参考書類、議決権行使書面、計算書類及び事業報告、連結計算書類の交付または提供に代えて、株主がインターネットにより提供を受けることができる旨を定めることができるようにするというものです。

電子提供措置については、株主総会の日の3週間前の日又は株主総会の招集の通知を発した日のいずれか早い日から株主総会の日以後3か月を経過する日までの間、株主総会参考書類等に記載すべき事項などに係る情報を継続してウェブサイトに掲載しなければならないとされています。

ただし、上場会社など、定時株主総会に係る事項が記載された有価証券報告書の提出の手続についてEDINETを使用して行う場合には、当該事項について電子提供措置をとることを要しないものとする特例が設けられています。

なお、インターネットを利用することができない株主に対しては、書面交付請求を認めており、電子提供制度を採用したからといって、紙が完全に不要となるとは限らないという点には留意が必要です。

最後の、システム対応などの準備が必要であるため、施行は法律の公布の日から3年6か月を超えない範囲内とされています。

2.株主提案権の個数制限

株主提案権の濫用的な行使事例が発生していることを受け、株主提案の議案数の上限が「10」とされることとなります。

議案の数え方について、役員の選任、解任については議案の数にかかわらず一の議案とみなされ、会計監査人を再任しないことに関する議案も議案の数にかかわらず一の議案(個人が共同監査を実施しているようなケースではありうると考えられます)とみなされることととされています。また、定款変更議案については、二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議案の内容が相互にむずんする可能性があるものは一の議案とみなされるとされています。

上記の、議案の数の制限に加え、不適切な内容の株主提案にも一定の場合に制限が設けられるこことされています。

3.監査役会設置会社に社外取締役義務化等

上場会社等に対して、社外取締役の設置が義務づけられます。といっても、上場会社ではほとんどの会社で既に1名は社外取締役が選任されており、複数人、あるいは一定割合以上選任されているか注目される段階に入っていますので、社外取締役を1名選任すればよいということであれば、あまり影響はなさそうです。

また、一定の場合に社外取締役への業務執行委託が可能となるとされています。これは、MBO等において株式会社と業務執行者等の利益相反が問題となる際、取引の公平さを担保するため、社外取締役が対象会社の独立委員会の委員として、対外活動を行う事が期待されるが、現行会社法では、業務執行を行うこととなり社外取締役の要件を満たさなくなるといった指摘がなされていたとのこです。

改正会社法では、上記のようなケースで、社外取締役が行為を行っても社外取締役の要件を満たさなくなるということはない旨が明確化されるとのことです。

4.株主交付制度の新設

これは、完全子会社とすることを予定しない場合であっても、株式会社が他の株式会社を子会社とするため、自社の株式を他の株式会社の株主に交付することができる制度です。

現行法では、これに類似したものとして株式交換がありますが、株式交換は完全子会社とする場合のみに使用可能なものである制度であるという点で異なります。

M&Aの手段として、使い勝手のよいものとなることが期待されます。

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