収益認識会計基準の注記事項等が明らかに
2019年10月30日にASBJは、企業会計基準公開草案第66号「収益認識に関する会計基準(案)」等を公表しました。
従来は、会計基準を早期適用する場合の必要最低限の注記のみが定められており、原則適用開始時(2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首)までに、検討するとされていた注記事項等が明らかとされました。
注記事項については、収益に関する注記事項は、注記全体の中でも重要性が高いものであり、本会計基準においては、会計処理に関する定めと同様に、注記事項についても原則としてIFRS第15号及びTopic606と同様の内容を取り入れるとされています(改正基準案101-4項)。
まず、重要な会計方針の注記として、最低限以下の項目を注記することが求められています(改正基準案80-2)。
①企業の主要な事業における主な履行義務の内容
②企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)
次に収益認識に関する注記としては以下の事項の注記が求められています(改正基準案80-5)。ただし、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことができるとされています。
① 収益の分解情報
② 収益を理解するための基礎となる情報
③ 当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報
①収益の分解情報については、「当期に認識した顧客との契約から生じる収益を、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づく区分に分解して注記する」(改正基準案80-10項)とされています。
②収益を理解するための基礎となる情報については、「顧客との契約が、財務諸表に表示している項目又は収益認識に関する注記における他の注記事項とどのように関連しているのかを示す基礎となる情報として」、契約および履行義務に関する情報、取引価格の算定に関する情報、履行義務の配分額の算定に関する情報、履行義務の充足時点に関する情報、会計基準適用における重要な判断を注記することとされています(改正基準案80-12項)。
③当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報については、「履行義務の充足とキャッシュ・フローの関係を理解できるよう」に、顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の期首残高及び期末残高、当期に認識した収益の額のうち期首現在の契約負債残高に含まれていた額、当期中の契約資産及び契約負債の残高の重要な変動がある場合のその内容、履行義務の充足の時期が通常の支払時期にどのように関連するのか及びそれらの要因が契約資産及び契約負債の残高に与える影響の説明、を注記するものとされています(改正基準案80-20項)。
また、表示科目については、「顧客との契約から生じる収益を、企業の実態に応じて、適切な科目をもって損益計算書に表示する」(改正基準案78-2項)とされています。より具体的には、「顧客との契約から生じる収益の適切な科目については、例えば、売上高、売上収益、営業収益等として表示する」とされています(改正基準案155項)
上記の改正は、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することが予定されています(早期適用可能)。比較情報については、経過措置が設けられており、適用初年度については比較情報として開示しないことができるとされています(改正基準案89-5項)。