領収書「但し書き」が空欄に「追記」はさすがにアウト
税務通信3583号に「国税庁担当官に聞く軽減税率導入後の申告に向けた留意点」という編集部と国税庁担当官によるQ&A形式の記事が掲載されていました。国税庁担当官の意見は個人的なものという注書きがあるものの国税庁の考え方を確認する上では意味があるものと考えられます。
以下この記事で取り上げられていた項目のいくつかを紹介します。
①間違って適用税率で販売してしまった場合、記帳や申告はどのように取り扱う必要があるのか?
軽減税率が適用される飲食料品の販売について、間違った税率(標準税率10%)を適用し販売してしまった場合は、その取引の事実に基づき、適正な税率(軽減税率8%)で申告等を行うということになるとのことです。
実際問題として、事後的に間違ったということに気づくことがあるのかはよくわかりませんが、この取扱いは予想どおりではないかと思います。
なお、イートインとして会計後に顧客がテイクアウトへの変更を申し出た場合に、販売事業社は返金に応じなければならないのかについては、販売事業社は販売時点で意思確認を行うなどにより判断することとされ、上記のようなケースにおいて2%分を返金することとまでは求められていないとされています(税務通信3575号)。
②領収書の追記はどこまで認めれられる?
請求書や領収書の追記について、”事業者の方には「もらった請求書や領収書に追記するのは抵抗感がある」等の声もある”とされています、そして、”事業者の方では、「手書き領収書」等の「但し書き」の欄の記載事項に疑問が生じているようです”としたうえで、”「但し書き」の欄がブランク(空欄)だった場合に何らかの「追記」が認められるのか”という質問がなされています。
これに対して国税庁担当官の回答は、”そのような「追記」は認められません”とし、さらに”厳密に申し上げれば、「但し書き」の欄がブランクであるとすれば、そもそも「取引の内容」が適切に記載されていない懸念があります。今回の区分記載請求書において求められる新たな記載事項以前の問題かもしれません。”とされています。
そういわれてみると、領収書(特に手書きの領収書)の但し書きにすべてきちんと記載がされているかについてはあまり自信がないので、今後はこの点についても注意しなければと反省しました。繰り返しになりますが、このような場合に、但し書きを「追記」するという発想はないので注意しましょう。
一方、但し書きとして「お品代」という表現はよくあると思いますが、仮にこれが軽減税率対象のものであった場合に、”「お品代(軽減対象)」として追記して構わないか”という点についても、”その「お品」が軽減税率の適用対象であることが必ずしも明確であるとはいえませんので、「軽減税率対象品目である旨」を「追記」することは、基本的に難しいと思います”という見解が示されています。
購入者側とすると、軽減税率対象品かどうかがはっきりしない場合の「お品代」について、10%で仕入税額控除をとってよいということであれば、特に不利益もない(というか本来よりも税額控除が増える)ので気にすることはないですが、良心的に「軽減税率対象品目である旨」を追記する必要はないということのようです。