会計士協会、有報提出期限の一律延長等を提案
本日付で日本公認会計士協会は「緊急事態制限の発令に対する声明」が公表されました。
この声明では、進行中の3月決算業務及び監査業務について、「当協会会員(公認会計士及び監査法人)からの情報を総合すると、多くの企業において決算業務に重大な遅延が生じている、あるいはその懸念が高まっている」とされ、そのような中、「リモートワークの推進をはじめとする可能な限りの工夫のもとに監査業務を継続してきましたが、こうした方法では対応が困難な業務も多く、監査業務の遂行にも重大な制約が生じて」いるされ、今回の緊急事態宣言により、「企業の決算業務や監査業務に対する制約が更に甚大なものとなることが予想」されるされています。
とはいえ、「信頼のある財務書類が提出されるようにすることが求められ」るため、「企業の決算業務の完了と監査業務の遂行のために、それぞれ十分な時間を確保すること」が必要なことから、「諸外国における措置と同様に、金融商品取引法に基づく有価証券報告書の提出等について、その期限を一律に延長することが可能となる対応及び会社法に基づく定時株主総会の開催時期(特に、計算関係書類の報告期限)についても、一律に延期することが可能となる対応が必要と考えます。」と述べられています。
もちろんリモートワーク等で、あまり支障なく決算業務等が進行できている会社もあるかもしれませんが、多くの会社では普段と大きく異なる状況下での決算作業が行われているのではないかと推測されます。
そのような環境下では、比較的単純なミスも生じやすくなると考えられますので、企業側、監査側双方にとって通常よりもリスクが高くなると考えられます。
そういった意味で、有報等の提出期限の一律延長や、株主総会の開催についても、基準日を改めて設定することなく特別な措置として開催日のみ延期を認めるというような措置が講じられることを望む会社は相当数存在するのではないかと考えられます。
通常のスケジュールでいけば、まさにこれから1~2週間程度が実質的な作業のピークとなる会社が多いと考えられますので、金融庁等が早急に対応してくれることを期待します。当局の立場からすれば、延長申請をすればよい、あるいは基準日の変更によって総会の延期は可能という見解は示されているということかもしれませんが、そうだと従来どおりに何とかやろうする会社が多くなるのではないかという気がします。
果たしてどのような対応となるのが、注目です。