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雇用保険法の改正を確認(2020年改正)

今回は雇用保険法関係の改正内容について確認します。

1.雇用保険法の目的の改正

細かな内容の前に、今回の改正では、雇用保険法の目的が改正されており、「労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の安定を図ること」が、雇用保険法の目的に追加されています。

従来から育児休業給付金のような制度はあり、育児休業についてもいわゆるパパママプラスをはじめ様々な取り組みがなされてきていますが、今回改めて育児休業に関する給付を行うことが目的化されたことはよい改正だと思います。

2.被保険者期間の計算方法の改正

この改正は2020年8月1日施行となっています。

改正内容は以下の通りです。
被保険者期間が12ヶ月(特定理由離職者および特定受給資格者似合っては6ヶ月)に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上であるもの又は賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上であるものを1ヶ月として計算するものでること。

現在は、「賃金支払の基礎となる日数が11日以上である月」が、失業等給付の受給資格の判定の基礎となる被保険者期間に算入されることとなっています。改正ではこれに、「賃金支払の支払いの基礎となった時間が80時間以上」が新たに加わっています。

近年、雇用保険の適用範囲が拡大されてきたことにより、現在では、1週間の所定労働時間が20時間以上で、継続して31日以上継続雇用される見込みの者は雇用保険被保険者となるため、上記の改正の意味するところがわかりにくいですが、1日8時間で週2日と週3日の労働を定期的に継続するようなケースにおいて、4週間で所定労働時間が80時間(週平均20時間)の場合、賃金の支払い基礎日数が10日しかないため、被保険者期間は0となってしまうということがありました。

そのため、被保険者期間の算入にあたっては、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定されるように、80時間というあらたな基準が追加されたとのことです。

3.高年齢被保険者の特例

この改正は2022年1月1日施行なので少し先の改正となります。

まず法改正の内容は以下のとおりです(第37条の5第1項)。

次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、厚生労働省で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出て、当該申出を行った日から高年齢被保険者となることができる。

一 二以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること。
二 一の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20時間未満であること。
三 二の事業主の適用事業(申出を行う労働者の一の事業主の適用事業における一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間数以上であるものに限る。)における一週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること。

また、上記の申出を行ったことを理由として、解雇その他不利な取り扱いをしてはならないこととされています(第73条改正)。

上記の改正は「複数就業者等に関するセーフティーネットの整備等」の一環として改正されたものです。働き方改革に関連して副業が認められることも増えてきているという状況において、対象者が65歳以上となっているのは何故かですが、とりあえず65歳以上の労働者を対象にして制度を試行してみようということになったためとのことです。そして、5年後を目処に効果等を検証することとされています。

とりあえず試行して効果を確認するというのは、よいですが、せめて対象を60歳以上とするか、欲を言えば50歳以上としてもらえれば、定年後どうしていくかを試してみるというようなことを行いやすくなったのではないかと思われます。5年後といわず2,3年で次のステップに進んでくれることを期待したいです。

週の所定労働時間については5時間以上である雇用が行われている事業所を合算の対象とするとのことですので、実務上は週2日嘱託で雇用しているような65歳以上の労働者が、他で1日(8時間)働いているというような場合に、施行後は申し出がなされることがありうるということになります。

4.高年齢雇用継続給付の改正

この改正は2025年4月1日施行となっています。随分先の改正ですが、改正内容は以下のようになっています。

高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金の額は、各支給対象月に支払われた賃金の額に100分の10(当該賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64に相当する額以上であるときは、みなし賃金日額に30を乗じて得た額に対する当該賃金の額の割合が逓増する程度に応じ、100分の10から一定の割合で低減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た額とするものとする。

現在の支給額は、各支給対象月に支払われた賃金の額の100分の15を上限として、賃金の低下率に応じて支給率が変化し、賃金/(みなし賃金日額×30)が61/100未満の場合に、実際に支払われた賃金の額の15/100が支給されることとなっています。

したがって、上記の改正は、支給条件が厳しくなっていることに加え、支給率も引き下げされています。

この改正は、令和7年度(2025年)には、継続雇用対象労働者の限定に関する経過措置が終了し、60歳以上65歳未満のすべての労働者は、希望すれば継続雇用制度の対象者となること、現時点でも希望すれば65歳以上までは働ける企業の割合が78.8%に達していることなどを考慮し、雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付については、段階的に縮小することが適当であると判断されたことによるものとされています。

施行は随分先ではありますが、高年利雇用継続基本給付金の支給を前提として、60歳以降の賃金の設計を行っている会社も相当数存在すると考えられますので、2025年の施行に向けて早めに検討する必要がある改正だと考えられます。

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