2020年3月決算会社-上場10社程度が継続会開催方針を決定
残念ながら監査法人でも新型コロナウイルス感染者が発生するなど、決算を締める会社側も監査をする側もかなり通常とは異なる環境下で本決算作業をすすめている3月決算会社が大半ではないかと思いますが、決算発表の状況をみていると、通常よりも決算発表を遅らせる会社が多いものの決算発表を完了している会社が多く、率直にすごいなと感じます。
4月28日に経団連からは臨時的な招集通知モデルとして、株主の来場を原則断る想定のモデルも公表されたことから、原則来場を断るという方向でほぼ従来通りのスケジュールで株主総会を開催することを選択しやすくなったという面はあるのではないかと思われます。
とはいえ、経営財務誌が5月13日までの適時開示書類を調査したところ、海外子会社の決算作業の進捗等の理由により、株主総会の継続会を開催する方針を決定している上場会社が5社あったとのことです(経営財務 3457号「2020年3月期 株主総会の継続会、上場5社が開催方針を決定」)。
上記の記事で取り上げられていた5社は以下のとおりです。
・アネスト岩田(東一,機械,青南)
・NKKスイッチズ(JQ,電気機器,あずさ)
・パイオラックス(東一,金属製品,EY新日本)
・芦森工業(東一,輸送用機器,あずさ)
・日本農薬(東一,化学,協和)
5月14日~本日までの適時開示を確認してみたところ、さらに以下の会社が継続会開催の方針について適時開示をおこなっていました。
・ADEKA(東一、化学、EY新日本)
・ナカノフドー(東一、建設業、和泉)
・国際計測(JQS、精密機器、トーマツ)
・三栄コーポーレーション(JQS、卸売業、太陽)
・中央ビルト工業(東二、金属製品、UHY東京)
・フェローテック(JQS、電気機器、EY新日本)
今後更に増加するかもしれませんが、3月決算の上場会社数は2400社程度なので、全体数からすれば極わずかといえます。また、継続会ではなく、株主総会の開催日を7月以降に延期した会社が10社程度存在していますが、双方合わせても現時点では20社程度にすぎません。
なお、株主総会の開催日を7月以降に延期することを公表しているのは、東芝(基準日を5月15日として7月以降に開催予定)、オリンパス(基準日を5月31日に変更し、7月下旬に開催予定)などです。基準日を変更している中でもっとも基準日をおくらせているのは、何かと話題のジャパンディスプレイのようで、6月30日を基準日として8月末までに総会を開催する予定としています。また、サンデンホールディングス株式会社については、海外子会社の決算状況の関係で、決算発表を6月以降、総会を7月以降に行う予定である旨を4月24日に公表していますが、本日現在基準日について未発表となっており、6月以降の基準日となる可能性が高そうです。
新規感染者数が減少している中で、株主の来場を原則断る招集通知を採用するのがよいのかについて、悩む部分もありますが、第2波がないとはいえない以上、個人的には感染の可能性を極力抑える方向で対応しておくということでよいのではないかと思います。