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ADワークス社-マンション販売仕入税額控除否認問題で勝訴

マンション販売事業社の仕入税額控除否認問題について、株式会社ムゲンエステート社が2019年10月11日に敗訴し、高裁で係争中(二審判決は2020年11月18日に予定)ですが、同様の事案で争われていた株式会社エーディーワークス社が勝訴したという記事がT&A master No.849に掲載されていました(2020年9月3日 東京地裁)

この事案は、住宅用賃貸部分を含む建物の購入が「課税売上のみに要する課税仕入れ」、「課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入れ」のいずれかに区分されるかで争われているもので、ADワークス社は最終的に販売する目的で建物を購入しているため「課税売上のみに要する課税仕入れ」として全額を仕入税額控除の対象としていたところ、行政処分庁は、引渡しを受けた日以降賃貸人としての地位を継承し、住宅の貸付の賃料収入を得ていたから「共通対応課税仕入れ」とすべきとして更生処分等を行い、訴訟に発展しています。

今回の判決では、用途区分にかかる判断は、税負担の累積を排除するためのものであるという点でムゲンエステート社と同様の解釈が示された一方で、用途区分の判断をどのように行うのかについて新たな判断基準が示されたとのことです。

同誌によると、「消費税法30条2項1号の文言及び趣旨に鑑みると、課税仕入れ等の用途区分に係る判断は、当該課税仕入れ等を行った日(仕入日)を基準に、事業者が将来におけるどのような取引のために当該課税入れを等を行ったのかを認定して行うべきである」とし、以下に基づき認定するのが相当であるとしたとのことです。

  1. 当該事業者の事業内容・業務実態
  2. 当該事業者における過去の同種の課税仕入れ等及びこれに対応して行われた取引の内容・状況
  3. 当該課税仕入れ等と過去の同種の課税仕入れ等との異同など、仕入日に存在した客観的な諸事情

その上で、同社のビジネスモデル下における判断について以下のとおり判断したとのことです。

一般に、事業者が課税仕入れ等を行う場合に、当該活動が本来得ることを目的としている収入(課税資産の譲渡等)のほかに、当該活動の過程で生じる他の収入(その他の資産の譲渡等)が見込まれることにより、当該風言い入れ等が共通対応課税仕入れに区分されることとなるのか否かについては、一義的に解するのではなく、①他の収入が当該事業者の経済活動におけるどのような過程で得られ、その活動全体の中で、どのように位置づけられているのか、②他の収入が見込まれることが、課税仕入れ等やこれに対応する取引にどのように影響を及ぼしているのか、③全体の収入の見込額のうちに他の収入の見込額が占める割合など、当該事業者が行う経済活動に関する個別の事情を踏まえ、課税仕入れに係る消費税について税負担の累計を招くものとそうでないものとに適正に配分するという観点に照らし、他の収入が見込まれることをもって当該課税仕入れ等につき「その他の資産の譲渡等」にも要するものと評価することが相当といえるか否かを考慮して判断すべきである。

日本税制研究所のサイトに掲載されている朝長英樹氏がT&A masterで記載した以下URLの記事によれば、平成7年・9年の検討記録文書では最終的に分譲する目的であれば、「課税資産の譲渡等のみに要するもの」とされていたとされ、この点についてADワークス社は「課税当局が実務の取扱いを変更した」旨を強く主張したとされていますが、上記判断により結論がでているため、東京地裁ではこの点については特に言及されていないとのことです。

http://www.zeiseiken.or.jp/faq/sonota/sonota_a014_01.pdf

判断根拠はともかく結果的に、「課税資産の譲渡等のみに要するもの」と取り扱われたことによって、1審で敗訴したムゲンエステートの高裁判決がどのようになるのかにも注目ですが、とりあえず同様の事業者にとっては朗報といえる判決であったといえそうです。

ところで、東京地裁の示した判断基準のように、ビジネスモデルを踏まえたうえで「その他の資産の譲渡等」にも要するものと評価することが相当といえるか否かを考慮して判断すべきであるということとなると、既に封じ込められているものの自販機スキーム(あるいは金地金スキーム)というような、実質的に消費税の還付をうけることのみを目的としているようなものについては、すべからく否認される可能性があるということにもなりそうです。

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