感染対策徹底で10月以降税務調査が本格化?
今年は周りで税務調査の話を聞かないなと思っていましたが、税務通信3622号の税務の動向で税務調査の状況について取り上げられていました。
この記事でも、新事務年度が開始された7月以降も、「今年は”税務署から新規調査の連絡がない”、といった実務家の声を多く聞く」とされていますので、やはり全体的に調査の件数は相当減少していたようです。
この記事によると、税務調査については、当面、納税者の状況を個々に考慮した上で実施する方針であったものの、「新型コロナウイルス感染症の影響で、真に必要な事案を除き、新事務年度を迎えた以降も、当面は様子見として新規調査を先送りせざるを得なかったようだ」とのことです。
当面そんな感じなのかなと思いきや、「国税庁は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を徹底した上で、10月以降にも徐々に新規調査を進めていく方向で検討しているようだ」とされています。とはいえ、「本事務年度においては、消費税還付事案や富裕層事案など、これまでも特に力を入れてきた重点事案などに、より的確に調査を行っていくことになるだろう。実地の調査だけでなく、電話等による”非対面”の簡易な接触や、机上調査にも力を入れていくようだ」とされていくことから、全体的な調査の件数は大きく減少するのではないかと思われます。
逆に考えると、このような状況下にかかわらず、税務調査の連絡があったという場合は、かなり大きな事項について何か目を付けられているということなのかもしれません。そういった意味で、例年以上に今年税務調査の連絡を受けたくはないところです。
「あくまで、企業のテレワークの状況なども含め、納税者の個々の状況を勘案しつつ調査に着手するスタンスはかわらない」とのことです。実際、直近でどれくらいリモートワークが実施されているのかについて、カオナビが9月17日に公表した8月のリモートワークの状況についての調査レポートによると、毎日出社が73.6%、出社とリモートワークを併用が15.7%であったとされています(ちなみに5月の同調査では、毎日出社は58.5%、出社とリモートワークを併用が18.1%)。
上記の調査結果からすると、リモートワークの状況は実質的にあまり問題とならないのかもしれませんが、国税庁が興味を持ちそうな大企業ほどテレワークの浸透率が高いように感じますので、当局は税務調査をしたい会社ほどテレワークが行われているというジレンマを感じているのかも知れません。
調査に向かう人員についても必要最小限に抑える方向とされているものの、やはり今年は税務調査の通知は受けたくないところです。特に心当たりがない場合、不安に苛まれそうです。