公認会計士協会への会費は商事時効では消滅しない
東京地裁で、監査法人と公認会計士協会間で会計士協会の会費の消滅時効をめぐって争われた事案がT&A master No.857で紹介されていました。
この監査法人(2013年10月16日に解散)は5社と監査契約を行い、監査業務を行ったものの、業務会費については資金枯渇のため支払うことができなかったため、日本公認会計士協会が、監査法人存続期間中に監査法人の社員に対して支払を求めて裁判となったものです。
監査法人の元社員は、会計士協会外請求する会費請求権は弁済期から5年を経過しており、商事時効が完成していると主張したとされています。
これに対し、東京地裁は、業務会費請求権の消滅時効は成立していないとして、監査法人の元社員に対し会費(184万円)等を支払を命じる判決を下したとのことです。
「日本公認会計士協会が公認会計士法43条1項に基づき設立され、業務の改善進歩を図るための会員の指導や、公認会計士等の登録に関する事務を行う法人であることからすれば、同協会と監査法人との関係が商事取引にあるとはいい難く、業務会費請求権が商行為に属する法律行為から生じたものと解することはできないとの判断を示した」とのことです。
民法改正によって商事時効が廃止されているので、今後はいずれにしても10年で判断されることとなると考えられますが、業務を行うことで支払わなければならないとされているものなので、会費の支払は商行為として商事時効が適用されると考えてしまうということのほうが多いのではないかと感じました。