近年の有報提出における添付漏れの傾向-経営財務誌調べ
経営財務3484号に近年の有報提出における添付漏れの傾向を調査した結果がまとめられていました。
EDINETの提出は、担当者が提出処理をしてしまえば公開されてしまうので、ついうっかり添付すべきものを忘れてしまったということが起こりやすいと考えられます。
個人投資家の多くは、確認したい会社のIRサイトを見にいくことが多いと考えられ、EDINETの添付書類を見る人は少ないのではないかと思います。
とはいえ、添付しなければならないものを添付し忘れれば、訂正報告書を提出する必要が生じます。
経営財務誌が2020年3月決算会社で9月末までに有価証券報告書を提出した2381社のうち、6月1日から10月31日までに提出された2020年3月期有報に関する訂正報告書を調査したところ、「書類の添付漏れ」との提出理由のものが33件あったとのことです。なお、この他、有報の記載事項の訂正と合わせて添付漏れを報告したものが4件あったため、添付漏れは合計37件であったとのことです。
2019年3月期、2018年3月期の添付漏れの訂正報告書件数は、それぞれ38件であったとされ、毎年40社程度の会社が何らかの書類の添付漏れで訂正報告書を提出しているということのようです。
添付を忘れた書類の内訳は、2020年3月期では以下のとおりとのことです。
定款:11社
定時株主総会招集通知:23社
定時株主総会決議通知:23社
定時株主総会招集通知に際してのインターネット開示事項 14社
定時株主総会招集通知記載事項の一部訂正について:1社
その他:8社
インターネット開示を行っていない会社もあることを考慮すると、株主総会関連の資料一式を添付し忘れるということだと思いますが、2018年は招集通知の添付漏れが23社に対して、決議通知の添付漏れが22社であったとのことです。
招集通知と決議通知のどちらかを添付し忘れるとすれば、自分なら決議通知のような気がしますが、そのような単純な作業ミスというようなこともあるので注意しましょう。
2018年、2019年の内訳は割愛しますが、基本的な傾向としては2020年と同様です。
総会関連の書類は毎年添付するものなので単純な作業ミスによるものといえそうですが、定款については、変更がなくても5年に1度は添付が必要となるという点をしっかり意識していないと、添付を忘れてしまいそうです。
変更がなくても5年に1度添付が必要となるというのは、開示府令第17条1項において、「定款等を添付して提出することとされている有価証券報告書の提出日前五年以内に法第二十四条第六項の規定により添付して提出されたもの(以下この条において「前添付書類」という。)がある場合には、定款等と前添付書類とで異なる内容の部分とする」とされていることによるものです。
個人的には、EDINET側で、過去4期の有価証券報告書で定款が添付されていなかったら、提出時にチェックでひっかかるようにしてくれればいいのにという気がしますが、期待薄ですので、無駄な訂正報告書を提出する羽目にならないように注意しましょう。