2022年1月1日より傷病手当金の支給期間が通算化されるようになりそうです
厚生労働省は、2021年2月5日に全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を国会に提出しました。
その中の一つに「傷病手当金の支給期間の通算化」があり、「傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う」とされています。
現在の傷病手当金の支給期間は、同一傷病については支給を開始した日から最長1年6ヵ月間とされています。期間は暦の上で計算した期間で判断され、実際に受給した期間とは関係なく、支給を開始した日から1年6か月後に受給期間が満了となります。
したがって、例えばメンタル不調により休職し、傷病手当金の受給を開始し、数ヶ月後に再び休職というようなことを何度か繰り返してしまうと、傷病手当金を受給していた期間は半分程度であっても1年6か月で期間満了となってしまうということもあります。
上記の法案が成立すれば、2022年1月1日以降は、出勤に伴い不支給となった期間は、その分の期間を延長して支給を受けられるようになるようですので、働いたら損というようなことはなくなり、むしろきちんと復職できるように、トライアル復職というようなことが行いやすくなるのではないかと思われます。
使用者側の観点からすると、対応がより長期化してしまうという側面はありますが、時間がかかってもきちんと復職してもらいたいということも多いので、個人的にはよい改定だと感じています。
上記の他には、後期高齢者医療の被保険者のうち、現役並み所得者以外の被保険者であって、一定所得以上であるものについて、窓口負担割合を2割とするというものもこの法案に含まれていますが、これはニュースでもかなり取り上げられていたので、多くの方が目にした内容だと思います。
また、「育児休業中の保険料の免除要件の見直し」も含まれており、短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとするとされています。
賞与の社会保険料の免除をねらって短期の育児休業をとるというケースはあまり考えられませんが、男性の育児休業取得を促進するというような流れにあるのはたしかです。したがって、上記のような改正を行うことで、賞与の支給時期に数週間育児休業を取得しようというようなことを防止しようということなのでしょう。