2021年6月開催よりバーチャルオンリー株主総会が可能に
2021年6月開催の株主総会よりバーチャルオンリー型の株主総会が認められることとなるようです。
T&A master No.870の「バーチャルオンリー型、6月総会から可」という記事よると、2021年2月5日に国会に提出された産業競争力強化法の改正では、”上場会社は、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合には、株主総会を「場所の定めのない株主総会」とすることができる旨を定款に定めることができることとされる”とされ、”この定款の定めのある上場会社については、当該会社法の規定を「株主総会を場所の定めのない株主総会とする旨」と読み替えることにより、バーチャルオンリー型株主総会を開催できることとなる(強化法66条1項、2項)“とされています。
上記改正は春頃に成立する見込みとされ、公布の日から施行されることとされているとのことです。定款に定める必要があるので、次の6月総会から採用するのは無理ではないかという点については、”施行後2年間は、大臣の「確認」を受けた上場会社は、定款変更のための株主総会を開催することなく、バーチャルオンリー型を開催できる(強化法附則3条1項)”とのことです。
3月決算会社で今年6月にバーチャルオンリー型株主総会を開催する会社がでてくるのかはわかりませんが、仮にそのような会社がでてきた場合には、バーチャルオンリー型株主総会で、将来のバーチャルオンリー型株主総会開催に向けた定款変更決議が行われるということになることが予想されます。
上記の記事において「企業にとって気になるのはバーチャルオンリーの株主総会の運用だろう」とされており、この点について、ハイブリッド出席型の「場所」を不要とするだけのものと考えて、運用面をハイブリッド出席型と足並みを揃えることも考えられると述べられています。
ちなみに、経済産業省の資料によれば、2020年6月開催の株主総会において、ハイブリッド出席型で株主総会を開催したのは2344社中9社である一方、ハイブリッド参加型で株主総会を開催した会社は113社となっています。
参加型は、株主総会における審議等を確認・傍聴することができるのみで、いわば株主総会のライブ映像を見ているというような位置付けであるのに対し、出席型はその名の通り株主総会の会場で株主総会に出席しているのと同様に議決権行使や質問等ができるという違いがあります。
したがって、「出席型」で開催しようとする場合には、議決権行使や質問の受付などに対応できるような仕組みが必要となりますので、実際に開催しようとした場合のハードルは高く、実施した社数が少ないというのも頷けますが、一般的に出席株主のうち質問をする株主はごく少数であることからすると、ハイブリッド参加型でも株主にとっては十分満足頂けるというケースも多いのではないかと思われます。
なお、強化法により読み替えられる会社法298条の規定によると、”「株主の利益の確保に資するものとして経済産業省令・法務省令で定める事項」も株主総会を招集する場合、定めなければならないとされており、株主保護の方向性が打ち出されている”とされ、具体的な内容については省令で定められるとのことですので、その内容が注目されるとされています。