所得拡大促進税制の適用判定における雇用調整助成金の益金算入時期に要注意
雇用調整助成金の益金算入と所得拡大促進税制の適用判定における控除とで事業年度が異なるケースがあるため要注意という旨の記事が税務通信3648号の税務の動向に掲載されていました。
通常の、雇用調整助成金は、給付原因である休業等の事実があった日に臆する事業年度で収益計上することとされていますが、新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金の特例措置では、事前の計画届の提出が不要とされているため、交付決定日の属する事業年度で益金算入することとされています(法基通2-1-42)。
一方、所得拡大促進税制の適用判定において、雇用調整助成金は「他の者から支払を受ける金額」として控除する必要がありますが、交付決定日の属する事業年度が翌期(益金算入が翌期)となった場合であっても、所得拡大促進税制の適用判定における控除のタイミングは、休業等の事実があった日の属する事業年度となるとのことです。
ただし、”特例措置で雇用調整助成金の支給を受ける場合であっても、休業等の事実があった日の属する事業年度に「収入すべき権利が確定した」と判断し、会計上、当該事業年度において収益計上するケース”においては、”確実に雇用調整助成金の支給が見込まれているのであれば、税務上も、休業等のあった日の属する事業年度(当期)に益金算入して差し支えないということだ“とのことです。
なお、令和3年度税制改正において、「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」の範囲の明確化が図られており、改正後は”給与等”から雇用調整助成金等を控除せずに適用要件の判定を行うこととなります。
このため、3月決算法人においては、令和4年3月期に影響はありませんが、2月決算会社の場合は、令和4年2月期においても現行制度の適用となるため、当期(令和3年2月期)の雇用者給与等支給額が下がることによって、来期、適用要件を満たしやすくなるとのことです。
税制改正の過渡期ですので、益金算入時期はもちろん、所得拡大促進税制の適用要件の判定でいつ控除するのかについても、注意しましょう。