監査報告書のXBRLタグ付けに要注意
経営財務3508号に「XBRLのタグ付け範囲がKAMに拡大」という記事が掲載されていました。
2021年3月期の有価証券報告書に添付される監査報告書には基本的にKAMが記載されることになっていますが、KAMの記載部分について新たにXBRLのタグ付けも必要となることから、タグ付けを間違わないように注意しましょうとのことです。
2020年3月期には監査報告書の記載内容が変更されましたが、変更すべき事項が正しく変更されておらず訂正報告書を提出したというケースが結構あったようです。ほとんどのケースは、監査法人から紙で受領した監査報告書とEdinetに登録した監査報告書の内容が異なっていたというケースだと想定されますが、作成者側の立場からすると、これはやってしまう可能性がそれなりにあったと思います。
というのは、通常監査法人から監査報告書のデータを入手するのは、意見日にかなり近い日程であったりするので、証券印刷のチェック後であり、データを差し替えるのを失念してしまうというのはありえると思います。
KAMに関連するXBRLのタグ付けについては、日本公認会計士協会から「監査報告書の作成及び EDINETによる提出並びにXBRLタグ付けへの関与について」、「EDINETで提出される監査報告書のXBRLタグ付け範囲の拡大に関する留意事項」が公表されており、正しくXBRLのタグ付けが行えるように監査人に対しても注意が促されています。
従来の監査報告書についても、XBRLのタグ付けは存在しましたが、KAMの場合は記載形式や個数が確定しているわけではないので、形式等に応じたタグ設定が必要となるという点で事務処理としては煩雑になると思われます。
作成側の立場からすると、何でもいいけど監査報告書は監査人が作成すればよいのではと感じます。上場会社は、通常プロネクサスか宝印刷のいずれかの開示書類作成支援システムを使用して開示書類の作成を行っているはずですので、多くとも二つのシステムの使い方を覚えれば、自ら支障なく入力できるはずです。
それこそ、本当に原本が存在するのかわからない現状の状況よりも、監査人に電子署名させるなどした方がよいのではないかという気すらします(Edinetは過去5年しか残らないという問題点はありますが・・・)。
と、文句を言ってみても、現行の仕組み上は会社が自ら対応せざるを得ませんので、XBRLの修正のために訂正報告書を提出するというようなことがないように注意しましょう。