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出る杭はもっと出ろ!

会計限定監査役に対する責任を問う最高裁判決が下されました

1ヶ月半位前に”会計限定監査役への損害賠償請求事件が最高裁へ”で取り上げた事案について、続報がT&A master No.892のニュース特集で取り上げられていました。会計限定がついているのであればと、監査役に就任している会計士、税理士の方は注意が必要です。

この事案の細かな内容については、前回の”会計限定監査役への損害賠償請求事件が最高裁へ“をご確認頂くとして、今回最高裁判所第二小法廷は2021年7月19日に、「会社(上告人)が会計限定監査役(被上告人)に対しその任務を行ったことで従業員による継続的な横領の発覚が遅れて損害が生じたとして損害賠償を求めた事件で原判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻す判決を下した」とのことです。

会計限定監査役であっても責任を問われるというのは何ら不思議ではないですが、どこまでやっていたら責任を逃れることができるのかという点について、この記事の副題では「税理士等の監査役は要注意、実務が変わる可能性も」としています。

最高裁の弁論において、「上告人(会社)は被上告人(会計限定監査役)に対して従業員の不正発見(実態監査)を求めているのではなく、情報の信頼性を検証する監査(情報監査)のみ求めていると主張。預金口座の残高証明書の原本を確認しなかったことについて任務懈怠があるなどとしていた」とされています。

これに対して最高裁は、「会計帳簿は取締役等の責任の下で正確に作成されるべきものであるとはいえ、監査役(会計限定監査役も含む)は会計帳簿の内容が正確であることを当然の前提として計算書類等の監査を行ってよいものではないとした上で、監査役は会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでなくとも、計算書類等が会社の財産及び損益の状況を全ての重要な点において適正に表示しているかどうかを確認するため、会計帳簿の作成状況等につき取締役等に報告を求め、又はその基礎資料を確かめるなどすべき場合があると指摘」し、「会計限定監査役は、計算書類等の監査を行うに当たり、会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても、計算書類等に表示された情報が会計上簿の内容に合致していることを確認しさえすれば、常にその任務を尽くしたといえるものではないとの判断を示し」たとのことです。

前回の記事で、会計士や税理士などの有資格者は無資格の会計限定監査役よりも監査役としてより高い水準の善管注意義義務を負うとされていた一審の判決について違和感がある旨を記載しましたが、この点について最高裁の判決では草野耕一裁判長の補足意見が付されており、「被上告人が公認会計士の資格を有していたとしても、会計限定監査役は公認会計士又は監査法人であることが会社法上求められていない以上、上告人(会社)の監査にあたり被上告人にぞの専門的知見に基づく公認会計士法2条1項に規定する監査を実施すべき義務があったとは解しえないとしたほか、監査役の職務は法定のものである以上、監査役の責任を加重する旨の特段の合意が認定される場合でない限り、監査役の職務内容が変わるものではないとしている」とのことです。

有資格者だからといって特段責任が加重されるわけではないということですが、裏を返せば、有資格者であろうとなかろうと、会計限定監査役として監査手続きの不備によって同じように責任を問われる可能性があるということです。今回のケースでは、銀行残高証明の原本の確認に焦点があたっているようですが、「会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合」であっても会計帳簿自体の妥当性を確認しないと任務懈怠が問われる可能性があるとすると、実務上問題となるのはどこまでやっておけばよいのかという点です。

差し戻された高裁でどのような判決が下されるのかが参考になると思いますが、この事案からすると少なくとも預金については残高証明の原本等と照合しておくということはやっておいたほうがよさそうです(これくらいはやっている方が多いとは思いますが…)。

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