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短期退職手当等Q&Aでポイントを確認

2021年10月8日に国税庁から、令和3年度税制改正による退職所得課税の見直しに伴う「短期退職手当等Q&A」が公表されました。

今回の改正は、役員等以外の勤続年数5年以下(短期勤続年数)の者への退職手当等(短期退職手当等)について、2022年分以後の所得税から退職所得控除後300万円超の部分に1/2課税の適用が受けられなくなるというのが主なポイントとなっています。

短期で多額の退職金が支給されるようなケースは一般的に普通ではありませんので、そのようなケースにおいて1/2課税の恩恵をうけられなくするというのは合理的な改正だと考えられます。

Q&Aの内容に沿って、主なポイントを確認してみることとしました。

「短期退職手当等」は、短期勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもので、特定役員退職手当等に該当しないものをいうとされています。なお、「特定役員退職手当等」とは、役員等勤続年数が5年以下である人が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払いをうけるものを意味します。役員等については、平成24年度税制改正ですでに手当てされていたので、「短期退職手当等」の範囲からは除かれています。

1.退職所得控除後の金額が300万円を超える場合の退職所得の計算方法

最初に計算方法を確認しておくと、短期退職手当等の金額が300万円を超える場合は、退職所得金額は以下のように計算されることとされています。

退職所得金額=150万円+「短期退職手当等の収入金額-(300万円+退職所得控除)」

Q&Aでは勤続期間5年で1,000万円の退職金が支給されたケースで退職所得に金額は以下のとおり計算されるという例が示されています。

退職所得金額=150万円+(1,000万円-(300万円+40万円×5年))=650万円

現行であれば、(1,000-40万円×5年)×1/2=400万円と計算されるので、上記のケースの場合は250万円の差が生じることとなります。

さてここで、少し仮定を変更して勤続4年で400万円の退職金が支払われたとします。この場合、退職所得控除後の金額は400-40×4年=240万円ですので、退職所得金額の計算は従来同様に計算され、(400万円-40万円×4)×1/2=120万円となります。

言い方をかえると、勤続年数5年以下の場合、300万円+40万円×勤続年数を超えた部分が1/2課税の適用を受けられないということです。例えば、勤続年数5年であれば、500万円を超えた部分は計算上1/2課税の適用がうけられないということになります。

2.適用時期

今回の改正は2022年以後の所得税から適用されるとされています。適用時期で気になるとすれば、今年12月中に退職して、退職金が来年1月以降に支払われた場合はどうなるのという点だと思います。

この点については、「収入すべきことが確定した日」は、原則、退職手当等の支給の起因となった退職日となるとされていますので、12月中に退職したことで1月以降に支給された退職金は現行通りに計算されるということとなります(Q&A2)。

3.勤続年数のカウント

短期退職手当等に該当するかどうかは、原則として、退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の起因となった退職の日まで引き続き勤務した期間で判定することとされています。

1年未満の端数がある場合は、端数を1年に繰り上げるとされていますので、5年1か月でも6年ということとになり、短期退職手当等の対象からははずれるということになります。

勤続年数が短いと金額的に問題とならないというケースが多いと思いますが、勤続年数が満5年に近い場合には、5年を超えるかどうかで大きな影響があるかもしれないという点は認識しておく必要があるといえます。

4.2か所から一般退職所得手当等と短期退職手当等を支給された場合の取り扱い

国税庁のQ&Aではいくつか複雑なケースの考え方が示されていますが、副業が広がっているといわれていますので、同一年内に一般退職所得手当等と短期退職手当等が支給された場合にどのように退職所得を計算するかと点を確認しておくこととします。

この場合、まず短期退職所得控除額及び一般定食控除額が以下のように計算されます(Q&A 6 2(1))。

①短期退職所得控除額
 40万円×(短期勤続年数ー重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数

②一般退職所得控除額の計算
 退職所得控除額-短期退職所得控除額

上記①の計算方法がポイントとなると考えられます。

そして、退職所得金額の計算のうち、短期退職手当等に係る退職金額は、1.でみたのと基本的に同様で、「短期退職手当等の収入金額ー短期退職所得控除額」が300万円を超えるかどうかでそれぞれ以下のように計算されます。

・「短期退職手当等の収入金額ー短期退職所得控除額」が300万円以下
 (短期退職手当等の収入金額ー短期退職所得控除額)×1/2

・「短期退職手当等の収入金額ー短期退職所得控除額」が300万円超
  150万円+{短期退職手当等の収入金額ー(300万円+短期退職所得控除額)}

<一般退職手当等に係る退職所得金額の計算>
(一般退職手当等の収入金額-一般退職所得控除額)×1/2

これに関連しQ&A8では、以下の設例で説明されています。

令和4年に2か所から退職金が支給されており、A社は勤続年数5年なので短期退職手当等に該当、B社は勤続年数10年なので一般退職手当等に該当、A社の勤続期間はB社の勤続期間と重複しているという設定です。

この場合、退職所得控除額はそれぞれ上記の算式に基づき以下のように計算されます。

①短期退職所得控除額
 40万円×(5年ー5年)+20万円×5年=100万円

②一般退職所得控除額の計算
 40万円×10年-100万円=300万円

退職所得の金額は、上記の控除額に基づきそれぞれ以下のように計算されます。

①’短期退職手当等に係る退職所得の金額
 A社から支給された退職金は300万円、控除額は上記の通り100万円ですので、控除後の金額は200万円ですので、単純に200万円×1/2=100万円が短期退職手当等に係る退職所得金額となります。

②’一般退職手当等に係る退職所得の金額
 B社から支給された退職金は500万円、控除額は上記の通り300万円ですので、控除後の金額はこちらも200万円となり、200万円×1/2=100万円が一般退職手当等に係る退職所得金額となります。

したがって、退職所得金額合計は、①’+②’=200万円となります。

Q&Aではさらに複雑なケースについても取り上げられていますので、より複雑なケースを確認したい方はQ&Aを一読しておくとよいと思います。

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