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RSは退職給与として損金算入が認められない

税務通信3677号の税務の動向に「RS 退職給与として損金算入が認められず」というタイトルの記事が掲載されていました。

タイトルをみて少しあせりましたが、副題に「損金算入には事前確定届出給与への該当が必要」と記載されていたので、退職給与として損金算入が認められないというだけで、損金算入が一切認められないというわけではないということで一安心。

この記事では、今年6月に行われた法人税基本通達の一部改正によって、2021年6月25日以降に開始する会計期間に支給の決議をするRSについて、法人税上は、退職給与として損金算入が認められなくなっており、今後はRSを損金算入するためには「事前確定届出給与」に該当させることが必要だという点が取り上げられていました。

問題の新設された法人税基本通達9-2-27の2(退職給与に該当しない役員給与)では以下の通り定めされています。

役員の将来の所定の期間における役務提供の対価として譲渡制限付株式又は譲渡制限付新株予約権が交付される給与(法第34条第5項(役員給与の損金不算入)に規定する業績連動給与に該当するものを除く。)であって、その役務提供を受ける法人においてその期間の報酬費用として損金経理(退職給付引当金その他これに類するものの繰入れに係るものを除く。)が行われるようなものは、例えばその譲渡制限付株式に係る譲渡制限期間の満了日又はその譲渡制限付新株予約権を行使することができる期間の開始日がその役員の退任日であることによりその役員において所得税法第30条第1項(退職所得)に規定する退職手当等に該当するものであっても、法第34条第1項の退職給与で業績連動給与に該当しないものには該当しない。

所得税法上は退職所得扱いになるものであっても、法人税法上は退職給与として損金算入できるものとは取り扱わないということです。ただし、「事前確定届出給与」に該当させることによって、これまでどおり一時に費用処理できるということです。

上記のような通達の改正が行われたのは、改正会社法で株式の無償交付が可能となったことと、この改正に伴い無償交付型のRS(事前交付型)等の会計処理が公表されたことによるものとのことです。

従来型の金銭債権の現物出資構成によるRSの発行ができなくなったわけではないので、会社法改正により導入された無償交付を用いたRSが増えていくのだろうかというのはよくわかりませんが、いずれにしても今後は「事前確定届出給与」の範疇で損金算入が認められるようにする必要があるという点は忘れないようにしなければなりません。

とはいえ、特定譲渡制限付株式の場合の届出要件は例外的な取り扱いとなっており、簡単な一定の要件を満たしていれば、事前の届出書の提出が不要となっていますので、実務上問題となることはあまりないと思われます。

なお、事前の届出が不要とされるための手続き要件は以下のとおりとされています(「攻めの経営」を促す役員報酬 2021年6月時点版 経済産業省産業組織課 Q28)

職務の執行の開始の日(原則、定時株主総会の日)から 1 月を経過する日までに株主総会等(株主総会の委任を受けた取締役会を含むものと解されます。)の決議により取締役個人別の確定額報酬又は確定数の株式についての定め(その決議の日からさらに 1月を経過する日までに、その職務につき特定譲渡制限付株式又は確定数の株式を交付する旨の定めに限ります。)がされ、その定めに従って交付されることが要件とされています(法人税法施行令第 69 条第 3 項第 1 号)

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