会計士CPE履行要件を満たさない場合は登録抹消も視野に検討
2021年11月29日に金融審議会公認会計士制度部会が開催され、公認会計士法改正に向けた審議が開始されたそうです。
少し前に取り上げた、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直しのほか、上場会社監査事務所登録制度の法制化や公認会計士・監査審査会による検査の対象に虚偽証明に係る監査手続を追加することなどが行われるようです(T&A master No.909)。
ここまでは会計士であってもあまり関係ないかなという感じですが、以前大手監査法人で問題となったCPEの不正受講等を踏まえ、公認会計士法上、CPEの履修要件を満たさない場合は登録抹消も可能にするように会計士法を改正することも視野に入れて検討するとのことです(同上)。
現行法においては、CPEの履行義務を果たさないものについて、日本公認会計士協会が、研修の履修指示、氏名等の公示・公表等の措置や、勧告会員権停止、退会勧告等の懲戒処分を行うことができるとされていますが、公認会計士の登録抹消事由とはされていません。
既に述べたようにCPEの不正受講があったことなどもあり、「CPEは公認会計士制度に対する社会からの信頼を維持するための重要な制度である」ことから、公認会計士の登録抹消事由する方向で検討がなされることとなったようです。
この他、組織内会計士の増加を受け、登録事項の整備も行われるとのことです。現在は、「公認会計士の登録は開業時の登録を念頭に、氏名、生年月日等のほか「事務所」の登録を求めて」いますが、「事業会社等に勤務する組織内会計士については、便宜的に自宅等を「事務所」として登録する例があるとされ、名簿上の登録内容が組織内会計士を想定したものとなっていない」ため、「勤務先を登録することなどにより組織内会計士の実態を把握し、日本公認会計士協会による組織内会計士向けの研修活動を充実させるなどの効果を期待するとしている」とのことです。
協会が近年「組織内会計士」をアピールしているような気がしますが、組織内で「公認会計士」登録しておく必要性は正直それほど高いとは思えません。たしかに、協会では「組織内会計士」向けに研修を実施したりしていますが、仮に会費を自己負担しなければならないのであれば、登録し続けるメリットがあるかなという気はします。
最後に、公認会計士登録までに実務経験期間の見直しがなされるようです。現行では、公認会計士登録申請までには2年以上の業務補助等の実務経験が必要とされていますが、諸外国では3年以上されていることもあり、日本でも3年以上に見直す方法となっているとのことです。
現行の制度では補修所が3年となっているので、試験合格後に監査法人等に就職したうえで補修所に通学するようなケースでは、実質的にい影響はありませんが、補修所に通学している期間に実務経験を積んでいないこともありえますので、そのような場合には登録のハードルが少しあがるといえそうです。