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定款の定めによって書面交付請求を制限できない事項

令和元年改正会社法で定められた電子提供措置が2022年9月1日に施行されることへの対応として、電子提供措置の採用が強制されている上場会社では、経過措置にかかわらず次回の株主総会で定款変更を行うことが一般的な取り扱いのようです。

経過措置では、2022年9月1日時点で上場会社である会社(振替株式を発行している会社)は、施行日に電子提供措置をとる旨の定めを設ける定款変更の決議をしたものとみなすとされています(整備法10②)ので、絶対に定款変更の決議が必要というわけではありません。

また、施行日6か月以内の経過措置も設けられており、2022年9月1日が施行日であるものの、総会の開催日が施行日から6か月以内であるときは、改正前と同様の招集手続きによらなければならないとされています。よって、結果的に、2023年3月1日以後に開催される株主総会においては、株主総会参考書類、議決権行使書面、事業報告、計算書類および連結計算書類に係る情報について電子提供措置をとらなければならないということになります(整備法10③)。

なお、電子提供措置事項記載書面の交付は、基準日までに書面交付請求した株主とされています(会社法325条の5②)。だとすると、施行日6か月以内の経過措置との兼ね合いで、例えば12月決算会社(基準日を12月31日とする)が2022年3月に開催する株主総会において電子提供措置をとる場合に、書面交付請求はどうなるのかですが、書面交付請求についてはさらに例外措置が設けられています。

すなわち、株主の書面交付請求については、上記の経過措置から除外されており、施行日である2022年9月1日からこれを行うことができるものとされています(整備法10③)。逆に言うと、株主は2022年3月1日以降に開催される株主総会にかかる電子提供措置にかかる事項について書面を請求するのであれば、基準日より前に請求しておく必要があるということになります。

電子提供措置事項記載書面に記載すべき事項は原則として、電子提供措置事項のすべてですが、会社法施行規則95条の4第1項各号に定める事項の全部または一部については、電子提供措置事項記載書面に記載することを要しない旨を定款で定めることができるとされています(会社法325条の5第3項)

上場会社の場合、電子提供措置は採用が強制されるため何ら手続きを経なくても経過措置で定款変更があったものとみなされますが、電子提供措置事項記載書面に記載することを要しない事項については定めをしておかないと従来ウェブ開示によっていた事項についても書面で交付しなければならないこととなってしまうと考えられます。そのような事態を回避するためには、施行日前の株主総会で定款変更を行っておく必要があります。

定款の定めによっても電子提供措置事項のすべてについて書面交付を制限することが認められるわけではなく、基本的には、従来のウェブ開示が認められていた事項について書面交付を制限することができるということになっています。

ただし、以下の項目についてはWEB開示が可能とされていますが、定款によっても書面交付事項から除外することはできないとされています

①事業報告の会社役員に関する事項のうち責任限定契約の内容の概要
②事業報告の会計監査人の状況のうち責任限定契約の内容の概要
③連結計算書類のうち連結貸借対照表、連結損益計算書

実務的に上記②は該当ないと思いますので、①と③がウェブ開示との違いと考えてよいと思われます。

また、定款の定めによって書面交付制限が可能な項目を確認しておくと以下の通りとなっています。

1.事業報告
(1)会社の現況に関する事項
①直前三事業年度の財産及び損益の状況
②親会社等との間の取引に関する事項
③特定完全子会社に関する事項
④主要な事業内容
⑤主要な営業所及び工場
⑥使用人の状況
⑦主要な借入金
⑧その他会社の現況に関する重要な事項

(2)会社の株式に関する事項
①大株主
②会社役員に対し事業年度中に交付した株式
③その他株式に関する重要な事項

(3)会社の新株予約権等に関する事項
①会社役員が事業年度末日に保有している新株予約権等
②当社使用人並びに子会社役員及び使用人に対し当事業年度に交付した新株予約権等
③その他新株予約権等に関する重要な事項

(4)会社役員に関する事項
①辞任した又は解任された会社役員に関する事項
②重要な兼職の状況
③財務及び会計に関する相当程度の知見
④常勤の監査等委員又は監査委員の選定の有無及びその理由
⑤その他会社の現況に関する重要な事項

(5)社外役員に関する事項
①氏名又は名称
②当事業年度に係る会計監査人の報酬等の額及び同意理由
③当社及び当社子会社が支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額
④非監査業務の内容
⑤子会社の会社に関する事項
⑥会計監査人の解任又は負債人の決定の方針
⑦現に業務停止処分を受けている場合の内容
⑧過去2年間に業務停止処分を受けている場合の内容
⑨辞任した又は解任された会計監査人に関する事項

(6)会社の体制及び方針
①職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制及び運用の状況
②株式会社の支配に関する基本方針
③剰余金の配当等の決定に関する方針

2.計算書類・連結計算書類・監査報告
(1)計算書類
①株主資本等変動計算書
②個別注記表

(2)連結計算書類
①連結株主資本等変動計算書
②連結注記表
③連結計算書類に係る会計監査報告・監査法報告

上記の項目のうちどの項目について書面交付制限の対象とするかは会社の任意ですが、シンプルに考えると従来WEB開示項目としていたものを書面交付の対象外とすることが考えられます。ただし、変更にあたっては定款変更が必要となること、上場会社においては電子提供措置が強制適用されることを考慮すると、制限できるものはすべて制限しておくということも考えられます。

また、書面交付を制限する事項について定款変更を行うこととなるため、経過措置によるみなしがあるものの電子提供措置にかかる定款変更も総会で決議することになると思われます。

最後に、上場会社では一般的にウェブ開示を可能とするための定款の定めがあることが一般的だと思いますが、電子提供措置をとったうえでウェブ開示を行うことはないはずですので、ウェブ開示を可能とする定款の定めは削除することになるとのことです。

なお、経過措置が設けられているため、定款変更にあたっては経過措置を踏まえた附則をおく必要がある点には注意が必要です。

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