書面交付請求の対象範囲が縮減される方向へ
来年から開始される株主総会資料の電子提供制度に伴い導入される書面交付請求について、現行の法務省令では、WEB開示制度においてWEBでの開示が認められていたものについても、請求があれば書面交付が必要とされる項目がありますが、この対象範囲が大幅に縮小される方向で見直されるようです。
T&A master No942の”書面交付請求の対象範囲が大幅縮減へ”によれば、「企業の声に加え、政府の規制改革推会議が各種手続きの電子化を推進する中、株主総会資料の電子提供制度について規定する現行の法務省令が見直されることが本誌の取材により判明した」とされ、「具体的には、連結貸借対照表・連結損益計算書、役員の責任限定契約に関する事項、単体の貸借対照表・損益計算書、事業の経過及びその成果、対処すべき課題、補償契約に関する事項及び役員等賠償責任保険契約に関する事項も電子提供措置事項記載書面への記載を要しない事項とされる」とのことです。
現状、電子提供措置事項記載書面に記載を要しない事項については、会社法施行規則95条の4で定められていますが、これが改正される方向ですすむようです。なお、現時点で定款の定めによっても書面交付請求を制限できない事項については、以前”定款の定めによって書面交付請求を制限できない事項“で記載しましたので、興味のある方はご確認下さい。
上記の記事によると、パブコメ募集後年内にも上記の方向で法務省令が改正される段取りとなりそうだとされています。
実際に運用が開始されるまえに、企業側の負担軽減が図られるのは歓迎ですが、書面交付請求は、一般的に事業年度末までに行う必要があるという点は、あまり認識されていないように思われ、特に初年度は、期末日後に書面交付請求があったような場合に対応するのかしないのかは各社で検討されることになると考えられます。