内部統制報告制度の見直しが審議、年内に方向性が出されるそうです。
経営財務3574号に「金融庁ない統制報告制度の見直し 部会で審議、年内に方向性」という記事が掲載されていました。
9月29日に企業会計審議会総会・第9回会計部会が開催され、内部統制報告制度の見直しに向けた議論が開始されたというもので、上記の記事では、主要な論点にあがってきそうなものは以下の3点と述べられています。
①評価範囲の数値基準の「例示」の撤廃を含めた見直し
②ダイレクト・レポーティングの導入の有無を含めた内部統制監査の位置づけの再検討
③訂正内部統制報告書の記載内容の充実・訂正内部統制監査報告書の義務付け
①については、文字通り評価範囲の数値基準の例示を撤廃するというもので、「撤廃された場合、よりリスクベースで評価範囲の選定を行うことが考えられるが“目安”が無くなることで判断に悩むケースも出てきそうだ。」とされています。
何か問題があった場合に、影響額が大きくなりそうな子会社等を売上高等の2/3を用いて評価対象から外すというような実務がまかり通っているとは思いませんし、数値基準の目安が撤廃されたとしても、基本的には従来の目安が継続して使用されることになるのではないかという気はします。
②のダイレクト・レポーティングについては、今更ダイレクト・レポーティングにするというのは流石にどうかという気がします。そもそも現状の監査で手一杯の状況にある監査法人にそんなマンパワーはないように思います。
③は、「不正等の発覚により、当初有効としていた内部統制について、それを有効ではないと訂正するケースが多発しているが、会社が内部統制報告書の訂正を行っても、それに対する監査証明は必要とされて」いないという点を受けたものとなっています。これは、確かに変なので改正されると思います。
事後的に問題が発覚して、開示すべき重要な不備があったと訂正されるようなケースは、内部統制監査を強化してどれほど防げるのかというそもそもの問題もあると思いますので、無駄に仕事を増やすような改正だけはやめてもらいたいですね。