プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
2022年10月25日に東京証券取引所から「株主の議決権行使に係る環境整備に関する2022年6月総会の状況及び今後の動向について」が公表されました。
同資料によると、プライム市場上場会社のうち、英文招集通知を提供していている会社が前年から26.2pt増加の88.1%となったとのことです。集計の対象は、2022年3月決算会社のうち6月末までに定時株主総会を開催した東証上場会社2,295社とされています。
なお、今後の提供を検討している会社を加えると93.5%となっているとのことです。CGコードで要請されていることが大きく影響していると考えられるものの前年からの増加率は相当なものです。
ちなみに、スタンダード市場は2021年と比較すると2倍以上となっているものの提供済みは9.1%、今後の提供を検討しているを含めても15.6%、グロース市場における提供じている割合は、ほぼ横ばいの5%ですが、今後の提供を検討しているを含めると19.1%と大幅に増加し、スタンダード市場以上の割合となっています。
また同じくCGコードで「プライム市場上場会社、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべき」とされている議決権行使プラットフォームの利用会社は、招集通知の英文提供以上に増加し92.1%(前年比+31.8pt)となったそうです。
CGコードでは「少なくとも機関投資家向けに」となっていますが、議決権電子行使プラットフォームを利用するには、一般株主の議決権行使の電子化にも対応するのが前提となっている仕組みのようですので、一般株主にとってもメリットはあったといえるのかもしれません。
なお、個人投資家向け電子投票の利用は、プライム市場上場会社で97.1%(前年比+13.4%)となっています。市場全体でみると、既に個人投資家向け電子投票を利用しているのは76.5%で、来年度以降の利用を検討している会社を含めると85.1%となっています。
最後に、来年の総会から招集通知の電子化が開始され、従来の総会2週間前の発送から、3週間前までの電子提供することが必要となるようになりますが、東証の資料では、総会開催日の4週間前までにTdnetによる開示を行った会社の割合を集計していました。
開示だけとはいえ4週間前までに実施した会社は、プライム市場でも32%と全体でみるとそれほど多くはありません。ただし、4週間前までに開示した会社は、時価総額が高い会社ほど多くなっており、時価総額が5,000億円以上の会社では、なんと59.2%と過半数を超えています。以下、1000億円以上5000億未満で39.6%、250億円以上1,000億円未満で21.3%、100億円以上250億円未満で13.9%と、いずれの区分でも前年よりも増加傾向にはあります。今後も割合は多少増加していくのではないかと思いますが、個人的には、時価総額1000億円を超えたら更なる早期開示を考えるということでよいのではないかという気がします。