富士フイルムホールディングスが子会社の不正会計の疑いで決算発表延期を公表
本日18時に東証一部上場の富士フイルムホールディングス株式会社が「第三者委員会設置及び2017年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」という適時開示を行い、4月27日に予定されていた決算発表を延期する旨を公表しました。
延期理由は、富士フイルムホールディングスの孫会社(子会社であるる富士ゼロックス株式会社の海外販売子会社)であるFuji Xerox New Zealand Limitedで2015 年度以前における一部のリース取引に関わる会計処理の妥当性について確認が必要となったためとのことです。同社は今期より会計監査人を変更しており、これが会計監査人変更による効果なのかと思いきや、毎日新聞のWEB記事によれば「15年にも問題を指摘する内部通報があり、契約見直しを進めた結果、問題が解消されたと判断していたという。」ということなので、会社としてはそれなりに把握していた問題であったようです。
適時開示資料によれば影響額は累計で約220億円(損失)とされていますが、現時点で開示されている業績予想は営業利益ベースで1920億円であることからすると、約10%程度の影響はあるもののそれほど深刻なインパクトはないといえそうです。
会計処理の妥当性を確認する必要がある理由としては、「機器に係る代金の回収を確保するために適切な水準に設定すべき毎月の最低利用量が明確に設定されていなかった等の事由に起因。」と注書きがなされています。
どいうことなのかですが、毎日新聞の記事に因れば「コピー機の利用の有無に関わらず、毎月一定の料金を受け取る契約を結ぶべきだったが、子会社はそうした契約を結んでおらず、利用に応じた料金しか回収していなかった。しかし、決算書では本来の契約通りの売り上げを上げたとしていた。」とのことです。
簡単にいえば、契約上の単価と異なる単価(会社的に求められる本来の単価)で売上を計上していたということのようですが、売上の相手勘定はどこにいっていたのだろうというのが気になります。売上計上されていながら未回収であったとすると債権がその分増加していたはずで、現地子会社の規模感がよく分からないものの、影響額が累計220億なので、さすがに変だなということに親会社も気づくのではないかと思われます。
だとすると、そんなに単純な話ではなく、根が深いものなのかもしれません。
決算発表がいつになるのかについては、「第三者委員会の調査の結果は、5 月中を目処に当社に報告される予定」とされており、この調査結果を踏まえて決算発表を行うとされていますので、5月下旬というところではないかと思われ、今のところ株主総会は例年どおり普通に行われそうです。