会社法における「株式交付」に係る規定を整備する方向で検討
経営財務3337号のニュースに”会社法で「株式交付」に係る規律を整備へ”という記事が掲載されていました。
この記事によると、「未来投資戦略2017」で「事業再編の円滑化」が取り上げられていることをうけ、来年度を目処に必要な制度的対応を講じるとし、会社法で「株式交付」に係る規律を整備するための議論が進められているとされています。
現行法においても株式を対価とする手法として株式交換が認められていますが、会社法における株式交換は、対象会社の発行済株式の全てを取得する手法となっています。
したがって、相手会社のすべての株式を取得することを目的としない場合は、株式交換は使用できず、「対象会社の株式等を現物出資財産として 会社法第199条 第1項の募集を行う必要がある」ということになっています。
しかしながら、現物出資の場合は原則として検査役の調査が必要となり、追加の費用も時間もかかることになります。このような状況から、”「株式を対価とする買収をより円滑に行うことができるように見直すべき」との指摘もあり,会社法を改正し,「株式交付」に係る規律を整備する案が検討され”、以下の案が提示されたとのことです。
株式会社(以下,株式交付親株式会社)は、他の会社(外国会社を含み,当該株式会社の子会社を除く。以下,株式交付子会社)の株式その他の持分(以下,株式)の取得により株式交付子会社をその子会社としようとする場合には、 会社法第199条 第1項の募集によらずに、当該株式を取得するのと引換えに当該株式を有する者に対して株式交付親株式会社の株式を交付すること(株式交付)ができるものとする。
また、「現物出資財産に係る検査役の調査( 会社法第207条 ),取締役等の財産価額填補責任( 会社法第213条 )に相当する規律の適用はないものとする方向」とされています。
上記のとおり改正が実現すると、事業承継に限らず、使い勝手がよい制度となるのではないかと思います。