マイカー通勤手当と消費税
通勤手当については、消費税の取扱において課税仕入として取り扱われます。なお、定期代を通勤手当として支給する場合のみならず、定期券を現物支給する場合も消費税の取扱は同様です(国税庁 質疑応答事例参照)。
また、所得税法においては、所得税が非課税とされる通勤手当の上限は1ヵ月当たり15万円とされていますが、仮にこの非課税限度額を超過した場合であっても消費税上は全額を課税仕入れとして処理することができます(基通11-2-2)
では、マイカー通勤の場合に、ガソリン代見合いとして支給される通勤手当の取扱はどうなるのかが問題となります。
この点、「平成29年版 タダではすまない!消費税ミス事例集 熊王征秀 著」では以下のように述べられています。
マイカー通勤の場合には、通勤に必要なガソリン代などの概算額を通勤手当として支給することがあり、交通機関を利用する場合とは本質的に異なるように思えます。しかし、非課税限度額内の金額であれば、「通勤に通常必要な金額」と考えられますので、実務上はこれを課税仕入高として処理してよいこととされているようです。
所得税法上の課税・非課税と消費税の取扱いは本来関係ないわけですが、実務上は、上記の通り、マイカー通勤の場合の通勤手当も非課税限度額内であれば実質的にガソリン代を支給しているようなものなので、課税仕入としてよいということで参考になります。
所得税法上、マイカー通勤の場合と同様自転車通勤の場合の通勤手当もマイカー通勤と同様に非課税限度額が適用されます(国税庁 タックスアンサーNo.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当 参照)。
さて、自転車通勤の場合の通勤手当もマイカー通勤と同様に課税仕入として取り扱ってよいかが問題となります。
この点については、公益財団法人日本税研究センターのサイトで、「自転車通勤を常例とする者に支給する通勤手当は、所得税法施行令に規定する非課税限度額の範囲内の金額であれば課税仕入れに該当するものと考えます。」という見解が示されていました。ちなみに徒歩通勤者に支給した通勤手当は、課税仕入れにしないとのことです。