スマホの耐用年数は何年?
iphone Xなど最近のスマホは端末を一括購入すると10万円以上するものが登場するようになっています。
そこでふと気になったのが、スマホを固定資産として計上して償却する場合、税務上の耐用年数は何年になるのだろうということです。
耐用年数表を確認してみると、「電話設備その他の通信機器」のうち「デジタル構内交換設備、デジタルボタン電話設備」は6年、「その他のもの」は10年となっています。スマホが「デジタルボタン電話」だとしても耐用年数は6年、その他のものだとすれば10年と、直感的にそれはないよねという耐用年数となっています。
仮に6年とか10年が正だとしても、今後もさすがに20万円を超えることはないと思いますので、一括償却資産として3年で償却すれば(あるいは中小企業特例で即時償却すれば)、感覚にマッチした期間で償却することが可能となりますが、正解は何年なのかは気になります。
ネットを検索してみると、そこそこ出てくる説が「スマートフォンは、電気通信施設利用権という無形減価償却資産の扱いとなります」というものです。この場合は耐用年数は20年となるそうです。
そして引用されているのが、「タックスアンサーNo.5383 携帯電話等の加入費用の取扱」です。このタックスアンサーにどんなことが書いてあるかというと、以下のように記載されています。
携帯電話に加入する際には、加入者は契約事務手数料を支払うこととなりますが、この手数料は、原則として、無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却することとなります。
電気通信施設利用権の耐用年数は20年ですが、法人税法では携帯電話の役務の提供を受ける権利の取得価額が10万円未満である場合には、その権利を取得し、事業の用に供した事業年度において、損金経理を要件としてその取得価額の全額を損金の額に算入することができます。
なお、PHSに加入する際に支払う新規加入料等についても同様の取扱いとなります。
普通に上記のタックスアンサーを読むと、契約事務手数料は原則として「電気通信施設利用権の取得価額として資産計上」して償却しろと書いてあるように読めます。新規に通信会社と契約すると、確かに事務手数料のようなものをとられますが、2000円とか3000円とかいったレベルのもので、上記の記載からすれば端末代金を無形資産に計上しろとはどこにも書かれていないと思われます。
そもそも携帯端末は有形のものですし・・・
そうすると上記のタックアンサーが何を言いたいのか理解できないですが、調べてみると携帯電話も当初は、当時の行程電話に加入する際に必要な施設負担金と同程度の額となる新規加入料(工事負担金)と契約事務手数料が必要であったそうです。ちなみに、新規加入料は当初72000円で、徐々に値下げされ、平成8年12月1日からはついに無料となったということがわかりました。
そして、新規加入料が無料になるまでは、携帯電話の新規加入料は、固定電話の電話加入権がそうであったように、非減価償却資産として資産計上が必要であったようです。これにより、従来資産計上されていた金額はどうなったのかいうと、平成8年12月1日を含む事業年度において電気通信施設利用権として取り扱われることとなり、減価償却が可能となったとのことです。
当時の実務は知りませんが、この改正時に一括して費用計上(損金処理)されたのではないかと推測されます。
話がそれましたが、上記のような経緯を勘案すると、スマホを施設利用権として計上し、20年で償却するというのは正しくないと考えられます。
耐用年数表に素直に当てはめれば10年ということになりそうですが、社会通念からすればこれもあり得ない年数だと個人的には思います。SIMフリー化が義務づけられたこともあり、スマホの端末の価値はより独立したものとなってきていると思われますし、高機能になればなるほどPCと同等のものと考えるのが自然だと思います。
上記のような点を勘案すると、PCと同じく4年償却というのが現実的なところだと個人的には思います。今のところ明確にはなっていませんが、(消費者としてはうれしくないですが)10万円を超えるスマホが多くなってくると、通達等で明確化が図られるのではないかと思います。