消費税追徴課税頻発でマンション販売を自粛せざるを得ない事業者がでてきているそうです
T&A master No.727のニュース特集に”マンション販売事業者への消費税追徴課税相次ぐ”という記事が掲載されていました。
この記事の中では、2017年7月31日に中古不動産販売・賃貸等を手がけるムゲンエステートが開示した「東京国税局からの更正通知書の受領について」というリリースがとりあげられています。クオカードの株主優待を行っている会社を調べていたときに、このリリースも目に入ったのですがあまり気にしていませんでしたが、上記記事からするとこの業界に与えるインパクトはかなり大きいということを改めて認識しました。
会社は、個別対応方式により販売用建物の仕入れは同建物の販売(課税資産の譲渡等)のために必要な仕入れであるとして、同仕入れに係る消費税全額を課税売上げに係る消費税額から控除していたところ、東京国税庁は、消費税非課税の住宅の賃貸による収入が発生する販売用建物の仕入れは、同建物の販売(課税資産の譲渡等)のみならず、住宅の賃貸(課税資産の譲渡以外の資産の譲渡等)のためにも必要なものであるとし、その仕入れに係る消費税額については、その一部しか課税売上に係る消費税額から控除することはできないとして更正処分等を行ったとされています。
「その一部」というのは、上記記事の解説によると、賃貸部分の面積割合分などではなく”「課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入れ等に係るもの」として仕入れ税額控除を計算すべきであるとした”とされています。
不動産販売業の場合、土地の売上が大きい、非課税売上割合が小さくなるのが一般的ですので、共通仕入として課税売上割合相当分しか仕入税額控除の対象とならないとすると、元々の販売額が大きいため会社にとっては結構な負担増となることは容易に想像できます。ムゲンエステートのリリースでは過年度消費税として約7億円を特別損失に計上する旨が記載されています。今後消費税率が10%に引き上げられると、さらに影響額は大きなものとなります。
ムゲンエステートと同様の課税が近年、数多く発生しており、「一部には、既にマンションの売買を自粛せざるを得なくなってしまった事業者もある模様」とされ、「こうした事業者は最終的に事業の継続が困難となる恐れがある」と述べられています。
実務家の間では、非課税売上である家賃収入が生じるケースは「課税売上と非課税売上に共通して要する課税入れ等に係るもの」とされるのもやむを得ないとの声も聞かれるが、その一方で長年の間、消費税法基本通達11-2-12が全額の仕入税額控除を認める根拠とされてきたという事実もあるとのことです。
なお、課税当局が処分にあたり根拠として示す裁決については、消費税法30条2項1号の文理解釈を誤ったものであるとする有力な主張もでてきているとされています。ムゲンエステートは不服申し立てを行う旨を上記リリースで明らかにしており、最終的にどのように決着するのかには注目しておこうと思います。
(課税資産の譲渡等にのみ要するものの意義)
11-2-12 法30条第2項第1号《個別対応方式による仕入税額控除》に規定する課税資産の譲渡等にのみ要するもの(以下「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」という。)とは、課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい、例えば、次に掲げるものの課税仕入れ等がこれに該当する。
なお、当該課税仕入れ等を行った課税期間において当該課税仕入れ等に対応する課税資産の譲渡等があったかどうかは問わないことに留意する。
(1) そのまま他に譲渡される課税資産
(2) 課税資産の製造用にのみ消費し、又は使用される原材料、容器、包紙、機械及び装置、工具、器具、備品等
(3) 課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等