譲渡制限付株式の導入社数が1.5倍に
税務通信(No.3510)の調査によると、2018年4月~6月(6月5日時点)における譲渡制限付株式の導入件数は137社と、前年同時期の約1.5倍と大きく増加しているそうです(前年同時期は約90社)。
譲渡制限付株式のほか、株式交付信託を導入した会社は77社で、譲渡制限付株式と合わせると200社を超える水準となっています。一方で、パフォーマンスシェア、RSU、ファントムストックはそれぞれ、7社、2社、1社と導入企業数は少なくなっています。
T&A master No.704の「平成29年 6月総会における現物株式報酬の導入事例分析平成29年 6月総会における現物株式報酬の導入事例分析」によれば、2017年6月の株主総会等で導入されたパフォーマンスシェアの導入企業数は21社とされています。パフォーマンスシェアは平成29年度税制改正によって、業績連動給与として損金算入が可能となっていますが、導入企業数は減少しているという結果になっているようです。
そういった意味では、導入するのであれば譲渡制限付株式と株式交付信託のほぼ2択という状況になりつつあるようです。
事前確定届出給与として、譲渡制限付株式を損金算入するためには、譲渡制限解除の条件を「一定の期間の継続勤務(継続勤務条件)」としていること等が必要となりますが、税務通信の記事によると、譲渡制限付株式の導入企業137社のうち94社が、「継続勤務条件」を設定しているとのことです。
一方、株式交付信託の導入企業77社のうち、その多くは、業績目標の達成度合いに応じて退任時の公布株式数が変動する形態を採用しているとのことです。業績に連動する形態の株式交付信託を損金算入するためには、業績連動給与の損金算入要件を満たすことが必要となった割に、導入企業数が多いというのは意外でした。
5年、10年経過した時点で、このような制度を導入した企業とそうでない企業で、業績のパフォーマンスにどのような違いが生じるのかが楽しみです。