日本法人の海外支店・外国法人の日本支店の電気通信利用役務の消費税の取扱い
平成28年度税制改正によって、日本法人の海外支店又は外国法人の日本支店が関係する場合の電気通信利用役務の提供について改正が行われ、平成29年1月1日から適用されています。
これにより、取扱いがわかりやすくなったと思っていたのですが、必要に際して改めて確認したところ勘違いしていたことに気づきました。
平成28年度税制改正では以下のような改正が行われています。
- 国内事業者の国外事業所等で受ける事業者向け電気通信利用役務の提供のうち、国外において行う資産の譲渡等にのみ要するものは、国外において行われたものとする。
- 国外事業者が国内の恒久的施設で受ける事業者向け電気通信利用役務のうち、国内において行う資産の譲渡等に要するものは、国内において行われたものとする。
上記よりどこで利用するかをベースに考えればよいのだと思っていましたが、そんなに甘くはありませんでした。
すなわち、「この改正は、事業者向け電気通信利用役務の提供、つまり、国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供についてのみ適用され、これに該当しないものは役務の提供をうける者の住所地等により内外判定を行います。そのため、日本法人の海外支店及び外国法人の国内支店が絡む場合の電気通信利用役務の提供の課税関係は複雑となります。」とのことです。(「国際取引の消費税QA (六訂版)」(税理士 上杉秀文 著))
したがって、国内事業者が提供する電気通信利用役務については、役務の提供をうける者の住所地等により内外判定をすることが必要となります。「役務の提供をうける者の住所地等」となっていますが、ここでいう住所地等は、本店若しくは主たる事務所の所在地を意味するので、日本法人の海外支店の「住所等」は国内、外国法人の日本支店の「住所等」は国外ということになります。
上記の取扱いを踏まえて、日本法人が電気通信利用役務を提供する場合の内外判定をまとめると以下のようになります。
(出典:「国際取引の消費税QA (六訂版)」(税理士 上杉秀文 著)より抜粋)
日本法人(本社)が電気通信利用役務の提供者であるというのはよくあることですので、上記で色づけした部分の取扱いには注意が必要です。