監査・レビュー未了の報告書をEDINETに提出で監査人交代
経営財務3409号の適時開示ニュースの公認会計士等の異動の中に寺崎電気産業(JQ)がありました。
同社は2019年5月15日に「会計監査人の異動に関するお知らせ」でEY新日本が退任し、 あずさが就任する旨の適時開示を行っています。
変更に至った経緯(一部)には、以下のように記載されています。
現任会計監査人から、当社が2018年9月14日に監査及びレビューが未了であったにも拘わらず「第39期第1四半期報告書及び過年度の有価証券報告書等の訂正報告書」をEDINETに提出した事実を理由に、新年度の契約は差し控えたい旨の申出を受けました。
EDINETの仕組み上、監査報告書やレビュー報告書は会社がデータを作成してしまえば、あたかも本当に監査報告書等を受領したかのようにデータを提出できてしまうわけですが、それを実行するというのはかなり異例です。
こんなことがあったのだなと問題となっている2019年3月期第1四半期報告書を確認してみると、一度2018年9月14日付け「独立監査人の四半期レビュー報告書」が提出された後、2018年9月21日に訂正報告書で2018年9月21日「独立監査人の四半期レビュー報告書」に訂正を行っていることが確認できました。
訂正理由は「監査法人によるレビュー未了のものをその編集作業中に誤って提出したため」とされています。「編集作業中」の作業ミスというニュアンスが醸し出されていますが、同社は9月14日に「平成 31 年3月期第1四半期報告書の提出完了に関するお知らせ」というリリースを行っており、「平成 30 年9月 14 日を期限として提出期限の延長承認を受けておりました当該四半期報告書を、本日、近畿財務局へ提出いたしましたので、お知らせいたします。」と記載しています。
ここまでやっておきながら、「編集作業中に誤って提出した」はかなり無理があるといえます。1週間程度できちんとしたレビュー報告書等が提出できているとはいうものの、本来は相当厳しい処分があってもよさそうな事案ではないかと思われます。
とはいうものの、「複数年にわたる元従業員による原材料の不正転売及び売得金着服行為」が監査で発覚しなかったということ、および後任の監査人をあずさが引き受けているということからすると、一方的に会社を責めることもできないのかもしれません。
会社はきちんと監査報告書等を受領してからEDINETに書類を提出するというのが当然ではありますが、押印されたものを添付する、あるいは、監査報告書等は監査法人等が提出するというような仕組みも必要なのかもしれません。