株式会社MTGが四半期報告書の提出期限を再延長って何が?
本日(2019年6月14日)のYahoo!ファイナンスの値下がり率ランキングトップに㈱MTGが△10.66%でトップにランクインしていました。
4月のはじめに”MTGが中国の新EC法の影響により大幅に下方修正”で同社が大幅に下方修正をおこなった旨を取り上げましたが、その後2Qの決算短信公表後の2019年5月13日に「当連結子会社における不適切な会計処理の疑義の判明に関するお知らせ」が開示され、翌日に第三者委員会の設置に関する開示が行われました。
「当連結子会社における不適切な会計処理の疑義の判明に関するお知らせ」では、「有限責任監査法人トーマツ(以下「監査人」といいます。)の審査の過程で、当該売上取引の実現性の認識方法(一括売上認識または消化売上認識)について議論となり、現地子会社に赴き追加のレビュー手続の実施を要請されました。本日、その現地での監査人の追加レビュー手続の実施の過程で、当連結子会社から当第2四半期レビュー期間中に説明を行っていた会計処理の前提としての事実と異なる事象が判明したため、これに係わる売上取引の会計処理の適切性に疑義が生じました。」とされています。
第三者委員会の調査や追加のレビュー手続きに時間を要することから、四半期報告書の提出期限を6月14日まで延長する申請を行い承認されていました。
大幅な下方修正公表日(2019年3月29日)から翌営業日(2019年4月1日)に株価は2300円→1800円に大きく下落し、子会社の不適切な会計処理の疑義の開示日(2019年5月13日)から翌営業日(2019年5月14日)に株価は1805円→1614円に下落しています(終値ベース)。
今回、さらに四半期報告書の提出期限の再延長申請を行った旨を公表(2019年6月13日)したことにより株価は1511円→1350円に下落しています。
再延長が申請された理由は何なのかと、6月13日に開示された「2019年9月期第2四半期報告書の提出期限延長(再延長)に係る承認申請書提出のお知らせ」を確認すると以下のように記載されていました(主な部分を一部抜粋)。
第三者委員会による上記調査の過程で、中国向けの越境EC事業におけるX社との取引について、会計処理が適切ではないのではないかとの疑義が新たに認識されるに至りました(以下「越境EC事案」といいます。)。
越境EC事案は、上海事案とは異なり、越境EC事業向けとして、上海事案における顧客とは異なるX社が当社から仕入れをした取引です。取引の時期は、2018年9月以降の4か月間であり、当社の担当事業本部はグローバルブランド事業本部です。この取引の全部又は一部について、買主であるX社は売主である当社に対して実質的に返品ができる状態にあり、売上の取消し又は返品引当金の計上が必要だったのではないかとされています。
越境EC事案について嫌疑が認定された場合、2018年9月期の決算訂正もありえ、2018年9月期まで遡及しない場合でも、2019年9月期の第1四半期については売上取消しや返品引当金計上の可能性があり、既に公表している四半期報告書に影響することが考えられます。
過去の期間損益の帰属については会計的には重要ですが、投資家であれば2Q末時点で実質返品可能な状態のものが残っているのかいないのかが一番知りたいところなのではないかという気はします。この点について明確には関われていませんが、上記のような書きぶりだと、2Q末時点の剰余金には影響がないように読めますが、この点を明確に記載すればよいのにと個人的には感じます。
業績予想を大幅に下方修正しても、相変わらずTVコマーシャルはよく見かけますので、それほど切羽詰まっていないのかもしれません(クリスチャーノロナウドのCMは見かけなくなった気がしますが・・・)。
これだけ色々あっても、時価総額は500億円を超えいるのがすごいところですが、これで最後であることを祈ります。