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収益認識会計基準ー28社が早期適用【経営財務誌調べ】

経営財務誌が2019年7月10日時点の有価証券報告書および四半期報告書における「会計方針の変更」に係る注記で早期適用した旨を明記した会社を調査した結果、28社が早期適用していたとのことです(経営財務3416号)。

適用開始時期別では、2019年3月期が28社中15社、2019年12月期が6社、2018年12月期が4社などとなっていたとされています。市場別では28社中27社が東証一部ということで、想像通りですが、業種別では、情報・通信業が6社、電気機器が5社、医薬品が4社とのことです。

適用している会計基準別にみると、IFRS適用会社が28社中16社と約6割を占めており、個別財務諸表で取扱いを考えると、早期適用会社の中にIFRS適用会社が多いというというのは理解できます。とはいえ、IFRS適用会社数が約200社ある中で、早期適用が16社となっているので、むしろ以外に少ないという感じがします。連結に占める単体の割合が大きいという会社ばかりではないので、連結ベースではIFRS15に対応しているとしても、単体として収益認識会計基準を早期適用するとなれば、重要性等の観点で対応をもう少し詰める必要があるということもあるかもしれません。

日本基準で収益認識会計基準を早期適用した会社は10社(残り2社は米国基準)ですが、キヤノン電子とキヤノンマーケティングジャパンはキヤノン(米国基準)が早期適用をしていることに引っ張られたものであると考えられ、そういった意味では実質8社といってもよさそうです。日本基準を適用している上場会社が3000社を超える中での10社程度ですので、早期適用会社は相当レアであるといってよさそうです。

なお、日本基準適用会社で早期適用している会社は、上記の2社以外では、ジャフコ、日本オラクル、オープンハウス、アドバンスクリエイト、ブイキューブ、CARTA HOLINGS、ビーグリー、ミルボンの8社となっています(日本オラクルも米国オラクル社との関係があるのかもしれません)。

日本基準で早期適用した会社の注記から処理が変更になった内容をいくつかピックアップしてみると、以下のようになっていました。

1.オープンハウス(2019年9月期第1四半期報告書より抜粋)

 これにより、従来、媒介した不動産売買契約が成立した時点で認識していた不動産仲介手数料について、媒介契約により成立した不動産売買契約に関する物件が引き渡された時点で収益を認識しております。また、不動産仲介手数料に係る前受金を契約負債としております。

2.ブイキューブ(2019年12月期第1四半期報告書より抜粋)

 これにより、期間契約型クラウドサービスに係るライセンス利用許諾料については、従来、契約が成立した時点で収益を認識していましたが、契約期間にわたり収益を認識する処理に変更しております。また、代理店として販売している商品・サービスについては、代理店手数料に相当する純額を売上として計上しております。

3.ジャフコ(2019年3月期有価証券報告書より抜粋)

①JAVが受け取る管理報酬の計上方法の変更
 管理報酬の収益計上方法を変更し、JAVがファンドから受け取る管理報酬は、JAVの販売費及び一般管理費と相殺した純額のみを収益として計上することといたしました。
②成功報酬の収益認識の変更
 当社が運用するファンドから受け取る成功報酬は、期末時点で将来、著しい減額が発生しない可能性が高いと見込まれる金額を未収収益として計上することといたしました。

4.ミルボン(2019年12月期第1四半期報告書より抜粋)

 当社は顧客との契約における対価に変動対価が含まれている場合には、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、取引価格に含めております。そのため、従来は販売管理費として計上していたリベートを売上高から控除し、また販売実績に応じて得意先に無償で交付する製商品に係る費用を売上原価に加算しております。

金額的な影響は別として、日本基準で早期適用した会社は影響範囲がそれほど広くないという印象です(早期適用しようとするくらいだからあたりまえですが・・・)。とはいえ、今後の参考として、他の事例も確認してみるとよいと思います。

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