大企業経理マンでも見落としがちな消費税項目③ーリバースチャージ
税務通信3568号の税務の動向に「大企業経理マンでも見落としがちな消費税項目」の第三弾が掲載されていました。
今回とりあげられていたは、事業者向け電気通信利用役務の提供についてでした。
特に間違いが多いとされていたのは、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度を適用している事業者が、国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合に、特定課税仕入れはなかったものとされ、不課税取引と同様に取り扱われ、消費税は課せられないところ、仕入税額控除の対象としている誤りが非常に多く見受けられるというものです。
いわゆるリバースチャージ方式の問題ですが、上記のケースは、課税売上割合95%以上の事業者が消費税分について 借)仮払消費税 800 貸)仮受消費税 800 というような処理を行っていたというものではなく、単に国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供について、国内取引として支払対価から仮払消費税を計上していたというものだと思われます。
そういった意味では課税売上割合が95%未満の事業者が、国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合に仕入税額控除のみとっているというケースも同様に多いのでないかと推測されます。
クラウドサービスなど各種サービスは、英語等で提供されているものについては事業者向け電気通信利用役務の提供として消費税の取扱いに注意することができるかもしれませんが、日本語で申込み等が可能なサービスについては、あたかも国内事業者と契約しているかのように誤解してしまい間違ってしまうという可能性はたしかにあります。
支払も海外送金で振込という感じであれば注意が向きますが、少額のサービスであればコーポレートカード決済などを利用したりすることもあり、この場合、特に違和感を感じず国内取引として処理してしまう可能性も考えられます。
平成27年10月に導入されたリバースチャージ方式ですが、日常的に必要なものでもないのでなければ、どのような仕訳を切るのかがぱっと思い出せないというのが普通ではないでしょうか(私だけかもしれませんが・・・)。
税務通信の記事では、取引の相手方が国内事業者か否か等の確認作業が重要と述べられており、これはその通りですが、クラウドサービス等について、消費税について明記されていないものについては疑ってかかるという観点も有用なのではないかと思います。