複数の業界団体から四半期開示にかかる意見書等が提出されているそうです
四半期開示の在り方をどうするかが議論されているということは何度か取り上げていますが、最近、複数の業界団体等が四半期開示の任意化等を含めた意見書が提出されているとのことです(経営財務3427号ミニファイル)。
直近に提出されたものには、全国地方銀行協会(9月18日)、関西経済連合会・中部経済連合会・九州経済連合会・北陸経済連合会が連名で意見書等を提出したとのことです(9月26日)。
9月18日に全国地方銀行協会が内閣府に提出したのは2019年度の規制改革要望で、「報告・届出の廃止・簡素化」の新規要望項目に「四半期開示の任意化」があるとのことです(経営財務3426号)。この記事によると、”この背景には、「企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上が求められる仲、四半期開示には、企業や投資家の短期的な利益志向を助長しかねないとの批判がある」こと、英国は2014年、フランスは2015年に四半期開示義務を廃止し、ドイツは2015年に法律上の四半期開示義務を廃止(取引所によって四半期開示義務が継続)していることがある”とされています。
そして、”2019年の規制改革要望書によれば、「巨額の貸倒の発生や有価証券の減損といった事象が発生した場合は、適時開示制度により速やかに開示されることとなっており、企業の異変の兆候把握は可能である」としている。”とのことです。
「巨額の貸倒の発生や有価証券の減損といった事象が発生した場合」に金融機関が、適時に情報を開示しているのかという点については若干疑わしく感じもしますが、取引所が四半期短信の公表を求めるのが継続するのであれば、四半期報告書はなくなっても影響はあまりないように思いますので、それぞれ目的が異なるというような建前は置いておいて、個人的には少なくともどちらか一方にした方がよいのではないかと思います。
もっとも、上記の要望は、どちらか一方ではなく四半期開示自体を任意にすることを求めているわけですが、ここで気になるのは、仮に四半期開示が任意になったとして、四半期開示をしないことが株価にどれだけ悪影響があるのだろうかという点です。
四半期開示が任意になった後に、任意開示を行っている会社とそうでない会社の対比によって、四半期開示を行う事が株価対策としてかなり有効であるというようなことが示されれば、任意開示となっても四半期開示を行う会社はそれなりに多くなるのではないかと考えられます。
東証は市場を改革しようとしている最中ですので、最上位の市場に残りたい会社は四半期開示を義務付けるというようなことがあってもよいのではないかと思います。
四半期開示をなくして欲しい(任意として欲しい)というニーズが根強いことだけは確かなようです。