閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

サイト中傷記事削除費用は家事関連費?

最近では何か問題があるとSNSなどから人物等が特定され激しいバッシングを受けるというケースが多数生じていますが、T&A master No.812に”サイト中傷記事削除費用は家事関連費”という記事が掲載されていました。

これは、診療所を営む医師である請求人が、事業所得の計算上、自信が医業停止処分を受けたことなどを掲載したインターネット上の記事の削除等のために支払った費用が必要経費になるか否かが争われた事案に関するものです。この請求人は問題となった対策費は広告宣伝費としての性質を有するなどと主張したとされています。

これに対して審判所は、「ネガティブサイトを放置することにより、ネガティブサイトに記載された請求人の氏名、職業及び年齢を端緒に、請求人に処分歴等があることが認識され、その結果、請求人個人のみならず診療所に関する悪評等につながるおそれがあることは想像に難くなく、場合によっては患者数が激減するなどの事態が生じる可能性も否定できないと指摘」し、「ネガティブサイトの削除方法等があることを知ったのを機に、業務による売上げに悪影響が及ぶことを回避する目的もあって費用を支出したのであり、本件費用を支出するに至った経緯、趣旨及び目的等の事情を総合的に考慮すると、本件費用は業務と関連して支出する費用等側面を有しているとした」とのことです。

この流れでいえば、請求人の主張が認められたで終わりそうですが、「ただその一方では、私人としての請求人自身に対する悪影響を回避するという側面も有している」とし、「業務と関連して支出する費用としての性質と家事費としての性質を併有するものであり、家事関連費に該当する」と判断されたとされています。そして、「本件費用は取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要な部分を明らかに区分していた事実を確認することはできないし、ほかに業務の遂行上直接必要であったことを明らかに区分することができると認めるに足る客観的な証拠もないと指摘」し、「本件費用は家事関連費であっても経費ではないことから、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額には該当しないとの判断を示した」とのことです。

自営業として診療所を営んでいるという状況を勘案すると、必要経費として取り扱われる金額が0というのは厳しいなと感じる一方で、この記事によると「本件費用は請求人が私生活で引き起こした刑事事件を原因として支出したものである」とされています。法人に置き換えて考えてみると、法人の役員が私生活で何らかの不法行為等を行った場合に、それに関連する中傷記事に対する対策は、役員個人に対するものは自分の費用でやってもらい、法人の費用で対策を講ずるのは法人に対するもののみを対象とするというのが基本となるのではないかと考えられます(実際には綺麗に切り分けることは容易ではないと思いますが・・・)。

「私生活で引き起こした刑事事件を原因として支出したもの」といわれると、個人事業主というよりは個人として支出したものという感じがして必要経費として認められなくても仕方がないとも考えられますが、法人と異なり個人の場合(特に士業のような場合)は、事業主としての個人と私人としての個人の結びつきが強いと考えられ、やはり0は厳しいなという気もします。

しかしながら、切っても切れないような状況にあるため、審判所の判断したとおり家事関連費に該当し、そうだとするとやはり「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額」でなければ必要経費とは認められないという結論が妥当ということになりそうです。

この記事では中傷の内容などは詳細に記載されていませんでしたが、仮に屋号が含まれる記事に対する費用のみを経費とし、それ以外を個人で負担していたとしたら結果は違っていたかも知れません。

関連記事

  1. 年末調整後に配偶者の合計所得見積額が違っていたと従業員が申告して…

  2. 個人事業の減価償却はストップできる?

  3. 借換え前後の外貨建借入金の内容に実質的変化がなければ収益認識不要…

  4. 生命保険料控除-新旧契約が混在する時の取扱い

  5. 平成24年税制改正による退職所得課税の見直し

  6. 固定資産税価額が不明な場合の社宅家賃の考え方




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,947,801 アクセス
ページ上部へ戻る