法人に係る消費税の申告期限の特例-改正法の適用時期および適用手続
令和2年度の消費税法改正により、法人に係る消費税の申告期限の特例が創設されました。法人税等の申告について申告期限の延長をしている法人は、消費税についても申告期限を延長することを通常希望すると考えられますが、その適用をうけるための手続等について確認しました。
従来、「消費税には確定決算主義の概念はなく、課税期間中の売上げ及び仕入れに基づいて確定消費税額を計算することから、あえて申告期限の延長は認められていなかった」とのことです(T&A master No.852 “令和2年度消費税改正(法人に係る消費税の申告期限の特例の創設)”)
しかしながら、令和2年度の消費税法改正により、法人税の確定申告書の提出期限を延長している法人が、「消費税申告期限延長届出書」を提出することにより、消費税についても申告書の提出期限を延長することが可能となりました(改正消費税法45の2①)。
改正法は令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する期間から適用することとされているため、通常の3月決算会社は当事業年度の決算期から申告期限を延長することが可能となっています。
「消費税申告期限延長届出書」の提出期限については「特例の適用を受けようとする事業年度又は連結事業年度(その連結事業年度終了の日から45日以内に提出した場合のその連結事業年度を含む)終了の日の属する課税期間の末日までとされています。
要は、事業年度末までに提出すればよいということですが、法人税の申告期限の延長とは別に届出が必要となるという点には注意が必要です。
また、消費税の申告書の提出期限の延長の特例を受けている場合、翌期の1回目と2解明の中間申告書の提出期限を当課税期間開始の日から5か月以内とすることとされています。申告期限の延長をしている3月決算会社のケースで考えると、1回目と2回目の中間申告期限は8月31日(3回目の申告期限と同じ)となります。
届出は急ぐ必要はありませんが、うっかり失念することがないよう、早めに対応しておくのがよさそうです。