2021年9月末までの時限措置でウェブ開示によるみなし提供の対象を拡大
2020年12月4日に法務省から「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案」が公表されました。意見募集は2021年1月6日までとなっています。
この改正は2021年9月末に失効することが前提の時限的な措置で、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を勘案し、2021年9月末までに招集手続を開始した定時株主総会に限り、ウェブ開示によるみなし提供の対象を拡大することを主な内容としています。
今年5月にも同様の措置が講じられていましたが、同様に時限的な措置として2020年5月15日から6か月以内に招集手続を開始した定時株主総会に係る定時株主総会に係る事業報告および計算書類に限られていたため、2020年12月決算会社や2021年3月決算会社の株主総会に向けて措置を講じておこうということのようです。そのため、施行日は2021年3月1日予定とされています。
具体的な「ウェブ開示によるみなし提供制度に関する改正」は以下のとおりです(「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令案に関する概要説明 」法務省2020年12月4日)。
事業報告に表示すべき事項の一部並びに貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項をインターネット上のウェブサイトに掲載し,そのウェブサイトのURL等を株主に通知すれば,当該事項に係る情報が株主に提供されたものとみなすものとするとともに,この場合には,取締役は,株主の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならないものとするほか,所要の整備を行うものとする(会社法施行規則第133条の2,会社計算規則第133条の2)。
また、ウェブ開示対象の時限的拡大のほか、「監査基準の改訂を受けた改正」も予定されています。これは、2020年11月6日に改訂された監査基準の「その他の記載事項」等の改訂に対応するもので、具体的には以下の改正を行うとされています。
会社計算規則第126条第1項各号に掲げる事項に「第2号の意見があるときは,事業報告及びその附属明細書の内容と計算関係書類の内容又は会計監査人が監査の過程で得た知識との間の重要な相違等について,報告すべき事項の有無及び報告すべき事項があるときはその内容」を追加するほか,所要の整備を行うものとする。
ウェブ開示の対象拡大は時限措置の予定とされていますが、問題がほとんどないと判断されれば、新型コロナウィルスが収束に向かっても、恒常的な仕組みとして取り入れられる可能性もあるのではないかと個人的には思います。