固定資産の減損の判定にあたり法人税等は何故考慮しない?
固定資産の減損を判定するにあたり、将来キャッシュフローを見積もる際に法人税等については考慮しません。
そういうものだと覚えておけばよいだけなのですが、株価算定や事業価値算定業務を行った直後だと、将来キャッシュフローを見積もる際に税効果を考慮しないのは本当にこれでよいのかなと疑問に感じたりします。
そんな時に、将来CFの見積にあたり税金費用は考慮しないというのはどこに書いてあるのだろうと適用指針を確認するのですが、減損の兆候について書かれている12項(1)の「営業活動から生じる損益」の説明の中に「ただし、支払利息など財務活動から生ずる損益や利益に関連する金額を課税標準とする税金は含まれない」とありますが、将来CFに関する記載はなされていません。
あれ?とさらに不安になったりして、固定資産の減損に係る会計基準を確認すると「4.将来キャッシュ・フロー(5)」で以下のとおり規定されていることに気づきます。
将来キャッシュ・フローには、利息の支払額並びに法人税等の支払額及び還付額を含めない。
この理由については、「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」四 2.(4)⑥で以下のとおり述べられています。
利息の支払額並びに法人税等の支払額及び還付額については、通常、固定資産の使用又は処分から直接生ずる項目ではないことから、将来キャッシュ・フローの見積には含めないこととした。
確かに、特定に資産グループにおけるCFがプラスであったとしても、実際の税金は法人単位で計算されるため、結果的に税金費用が発生しないということは考えられ、そういった意味で法人税等は固定資産の使用又は処分から直接生ずる項目ではないということになるということだと考えられます。
ふと気になるかもしれない事項の確認でした。