2021年公認会計士試験の合格率は9.6%
2021年11月19日に公認会計士試験の合格発表があったそうです。
願書提出者は6年連続で増加しており1万4,192人(前年比+961人)となっており、男性1万790人、女性は3,402人で、女性比率は24.0%。女性の願書提出者も6年連続で増加しているとのことです(経営財務 3533号「会計士試験 2021年の合格率は9.6%」)。
将来的に会計士の職はなくなるなんていわれて久しいですが、受験者数は増加しているというのはなかなか面白い感じがします。とりあえず上場会社で会計監査が必要とされており、監査の責任を自然人が負わされる形になっている限りは、なくそうにもなくならないはずですが、AIによってなくなりそうな職業と言われ続けるのだろうと思います。
また、財務数値のチェックについてAIを利用して人がすることがなくなるとすれば、おそらくそれ以外の分野を監査対象とする方向で業務範囲を拡大していこうとするのではないかという気がします。例えば、やりたいかは別として、最近話題となることが多い非財務情報の開示について、業務範囲を広げるなどの働きかけが会計士協会等からなされることが予想されます。
話を会計士試験に戻すと、今回の試験の最終合格者は1,360名で合格率は9.6%でした。過年度合格者がこの合格率を高くなったと思うのか、低くなったと思うのかは試験を受けた時期によって異なりますが、最近の傾向として、合格率が10%を下回るのは8年ぶりとされています。
最近の会計士試験の事情には詳しくありませんが、以前は合格者数は業界自体のニーズをある程度反映して変動する傾向がありましたので、大手監査法人等での需要が減少しているということなのかもしれません。ただし、公認会計士・監査審査会は願書提出者が増えている背景には「監査法人等の就職状況が堅調に推移しているのではないか」とみているとされています。
また、合格者の平均年齢は24.5歳で、2006年の新試験制度移行後、初めて25歳を下回ったとのことです。旧試験制度では働きながら試験に合格するのはかなり困難といわれていましたので、大学生や大学卒業1~2年という受験生が多く合格者の平均年齢は低かったと思います。今回の試験で平均年齢が下がったのは以前のような傾向に戻りつつあるという可能性もあるものの、コロナウィルスの感染拡大により、大学に行かなくなったような学生が、時間があるので試験に取り組んだということなのではないかと推測します。
最後に合格者の職業について、学生や専修学校・各種学校受講生の合計が67.9%で全体の2/3を学生が占めていたとのことです。