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出る杭はもっと出ろ!

「生活保護 3.7兆円が日本を蝕む」-週刊ダイヤモンドより

少し前に生活保護にかかる費用が年間3.7兆円という報道がなされて、税収との関係ですごい金額だなと感じていたところ、2012年6月30日号の週刊ダイヤモンドで「4人家族で実質500万円!?”保護天国”の全貌」として生活保護の特集が組まれていました。

現状の3.7兆円もすごい金額ですが、今後高齢化が進んで医療費関連の社会保障費もさらに増えると思うので、今後どうなるのかが気になります。

この点について、白鴎大学教授の浅羽隆史氏の生活保護受給者数と事業費のシュミレーションが紹介されていました。
このシュミレーションでは、「悲観」、「通常」、「楽観」の三パターンでシュミレーションが行われています。「悲観」は、近年もっとも受給者が伸びた10年度の増加率で計算したもの、「通常」は昨年度の増加率が継続した場合、「楽観」はリーマンショック以前の07年度の増加率までに落ち着くと仮定した場合のシュミレーションとなっています。

このシュミレーションによると2030年度に生活保護受給者数と事業費総額は以下のように推定されています(ちなみに2012年3月時点での生活保護受給者は210万人で過去最高となっています)。

悲観シナリオ・・・生活保護者500万人、事業費8.5兆円

通常シナリオ・・・生活保護者402万人、事業費6.9兆円

楽観シナリオ・・・生活保護者285万人、事業費4.9兆円

このようなシュミレーションの場合に、昨年度の増加率を継続した場合を「通常」といってよいのかはわかりませんが、恐ろしく感じるのは、楽観シナリオといわれているものでも4.9兆円と推定されている点です。税収が自然に増えることは期待しがたく、歳出削減も抜本的なものは期待薄なので結局増税ではないかと思えてなりません。

さて、雑誌の表紙に書いてあった?「4人家族で実質500万円!?」という点に関連して、同誌の記事では「働くより”もらい得”!?4人世帯なら500万円」というタイトルで内容が解説されていました。

この記事によると、生活保護受給者のうち、最も多いのは、高齢化に伴う「高齢者世帯」であるものの、その陰で働ける年齢の就労世代である「その他の世帯」が急速に増加しているとされています。
厚生労働省が発表しているデータによると2012年3月時点で「その他の世帯」が約26万世帯(高齢者世帯は約66万世帯)となっており、この「その他の世帯」にどのような世帯が含まれているのか疑問でしたが、疑問が一つ解消できました。

そして、東京都新宿区に住む4人家族の場合(40歳、35歳、7歳、5歳)の場合で生活保護世帯の実質的年収のシュミレーションが行われていました。

これによると、定期的に支出される費用として、

・食費被服費 約160万7千円

・光熱水費(4人世帯用)約68万9千円

・養育費(子ども二人分)24万円

・家賃(上限額)約83万8千円

・通学費 約5万6千円

・年末手当 約1万4千円

で、合計約344万4千円となっています。

加えて、実費支給や減免されうる費用があるので、それらが概算で以下のように示されています。

・住民税(固定資産税なども) 約12万円

・医療費(実費支給) 33万8千円

・健全育成費 2万5千円

・国民年金保険料 約36万円

・認可保育園保育料 約12万円

・水道料金 約12万円

・NHK受信料 約1万5千円

・都営バス、都営地下鉄の無料パス(世帯に1枚) 約16万円

・学校給食費、教材費、交通費(実費支給) 4万5千円

・消火器(新宿区が支給) 5千円

など諸々を考慮に入れると、実質的な年収は450万円~500万円に相当するということになっています。

ちなみに単身世帯で考えると、東京都の最低賃金で働いた場合の年収(1日8時間、月間20日労働)が年収160万円であるのに対して、生活保護基本支給額(20歳~40歳単身)が年収167万円となっており、真面目に働くのがばからしく思えるという人が出てきても仕方がない状況ともいえます。

また、東京23区内の保護率(人口に占める生活保護者の割合)が意外に高いという事実にも驚きました。23区内で保護率が最も高いのが台東区で、保護率は4.5%だそうです。台東区の場合は税収と生活保護費の逆転が起きているとのことで、これは相当深刻です。足立区も、税収と生活保護費が逆転まではしていないものの税収の99.9%で、税収が生活保護費で消えているという状況とのことです。

気になったのは、足立区の保護率が高いのは『関係者は「都営住宅が密集しているため」と口をそろえる』という点です。これは、都営住宅の大半の家賃が生活保護における23区の生活扶助の上限額以下の安さであることに加えて、受給者の当選確率が一般の7倍となるため(ちなみに一般の都民が抽選に応募した場合の、平均倍率は約30倍) 、結果的に都営住宅がある区は生活保護の受給者が増加するということのようです。

どこに住むかは個人の自由だと思いますが、それにしても通勤に便利な地域の都営住宅について、敢えて生活保護者の当選確率を上げる必要があるのかは甚だ疑問です。

有名お笑い芸人の親が生活保護を受けていたということで、芸人が批判の対象となっていましたが、道徳的にはともかくとして、扶養した場合の税制面の控除などもそれなりにメリットがあるものにする必要があるのではないかと思います。
個人的には、生活保護分くらいまでは送った分だけ所得控除できる(本当は送金額の半額を税額控除できるくらいあればいいと思いますが・・)というような制度が必要なのではないかと思います。

子どもに扶養能力があるにもかかわらず、生活保護を受給してしまえば結局全額が税金に跳ね返ってくるので、それならある程度の優遇措置を認めるのも必要ではないでしょうか。

日々成長

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